2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧
北原白秋(1885-1942)は20代にして当代の詩王と呼ばれた長崎生まれの詩人。同時執筆された処女詩集「思い出」1911、「邪宗門」1909刊行後、隣家の人妻の家庭内暴力への同情から恋愛関係になり、夫の告訴(姦通罪-第二次大戦後に廃止)により人妻共に巣鴨プリズ…
グル・グルといえばここ十数年来は数年おきに来日する人気バンドだが、実際来日するまでは誰もが複雑な思いだった。オリジナル・メンバーはリーダーひとり。かつてのグル・グルではない。でもリーダーがグル・グルを名乗って演奏する以上、それも最新型グル…
昨夜は「ブラネット・オブ・エイプ」を楽しみ、さっきは「午後のロードショー」で「ロボコップ」見終ったところ。今週は刑事モノ特集だそうで楽しみだ。このあとなにか書かなきゃな、と実にスーツのゴツいロボコップを見ているうちに、何となく思いついた。 …
萩原朔太郎、金子光晴にも「久しぶりに読んで新鮮な気分になった」とコメントが寄せられたが、中原中也(1907-1937)への反響はそれを上回った。中也の詩は読む人にダイレクトに訴えかけてくる。 『汚れっちまった悲しみに……』 汚れっちまった悲しみに 今日も…
(1) **さんこんばんは。季節感にとらわれずともいいんじゃないですか?どの日と言わず1年365日かけがえのない余生です。そちらでは早くも暖冬の気配とのこと、うらやましいなあ。 ぼくみたいな独居病人の気を引き締めるべきは、年末年始の前後2週間は安定し…
三富朽葉(1889-1917)は長野県生まれ、東京育ち。早稲田大学在学中フランス象徴派の訳詩を発表、同人誌「自然と印象」の中心となった。 朽葉の詩史的位置は蒲原有明・伊良子精白らの文語自由詩、北原白秋の口語定型詩から「口語自由詩」を初めて明確に打ち出…
●カーヴド・エア「ファンタスマゴリア-ある幻想的な風景-」Curved Air'Phantasmagoria'1972 カーヴド・エアは1969年にソーニャ・クリスティーナ(ヴォーカル)、ダリル・ウェイ(ヴァイオリン)、フランシス・モンクマン(キーボード、ギター)を中心に結成され…
もう七五三? 早いね クリスマス これは いくらなんでも あからさまに早い 期待が少ないのは いいことだ なにもかも望み薄なら 知らない女に また殺される夢を 見る程度の 歩幅で ひと足ずつ 近づいているような 季節の変わり目
井上輝夫は1940年兵庫県西宮市生まれ。慶応大学在学中より吉増剛造らと同人誌活動。処女詩篇『あたらしい黄金の力を』は1962年9月発表、ただちに若手詩人中のカリスマ・堀川正美に称賛されるが、フランス文学研究者の道に進み、詩集刊行もやっと1975年になっ…
これまでいくつもの60年代~70年代バンドを紹介してきたが、一部の例外を除いて共通点がある。どこも生真面目で骨身を削るように音楽をやっていることだ。だからこそ優れたアルバムが残せたのか、音楽の印象からこちらが買い被ってしまうのかはわからない。 …
朔太郎、光晴ときたから中原中也(1907-1937)を再読してみよう。教科書の定番作品よりも過激な詩が多い。たとえば『春日狂想』がそれで、中也はダダで始まりダダを生きた人だった。 『春日狂想』 中原 中也 1 愛するものが死んだ時には、 自殺しなけあいけま…
今回はイギリスの60年代バンド。ザ・ムーヴ。とにかく才気煥発で、ビーチ・ボーイズとビートルズの弾んだポップ・センスを純化したような音楽性では随一の存在だった。別の言葉で言えば、能天気といってもあながち的はずれではない。ボーイズやビートルズに…
**さんコメントありがとうございます。ぼくも金子光晴から3篇といったら「おっとせい」「洗面器」「寂しさの歌」になります。まったく**さんのセレクトに同感です。 ぼくはライター時代の一時期、新潮社近くの神楽坂の崖っぷちの(金子光晴が新婚時代から数年…
「山羊の頭のスープ」'Goats Head Soup'はローリング・ストーンズの1973年のアルバム。No.1ヒット「悲しみのアンジー」'Angie'収録、アルバムも英米でNo.1ヒットを記録。表ジャケットはミック・ジャガーの生首スープ、裏ジャケットはキース・リチャーズ、見…
朔太郎は新潮社の5巻本旧版全集+人文書院版全書簡集がリーダブルで愛読しています。5巻本全集のうち4巻はエッセイと文学論で天然ボケ満載、さすが大詩人の風格。書簡集も誤字脱字だらけ。入り婿して実家の医院を継いだ妹(解説忘れましたが、写真中は末妹と…
YouTubeは重宝なもので、ラヴ以前にリーがマイナー・レーベルから発表したLee's American Fourのシングル(1964)や第六作'False Start'(1970)と同時期録音のジミ・ヘンドリックスとラヴの幻のお蔵入りコラボレーション・アルバムがテスト・プレスのジャケット…
実はこれは金子光晴『洗面器』の続きでもある。この情景を詠んだ詩は『洗面器』と『見附のみどりに』しかないのではなかろうか。しかもどちらも名作となると踏襲しただけでパクリと見なされかねず、匹敵する作品をものせる見込みはほとんどない。 『洗面器』…
アーサー・リー(1945-2006)と彼の率いたロサンジェルスの伝説的バンド、ラヴの物語は同郷のビーチ・ボーイズ、ザ・バーズ、ザ・ドアーズを包括し、ある意味では越えるものだ。 「アメリカ人の人生に第二章はない」とはよく言われる言葉だが、上記のロック・…
金子光晴(1895-1975)は愛知県生まれ、東京育ちの詩人。第一詩集「赤土の家」1919(25歳)は当時流行のヒューマニズム詩だったが、詩集刊行の直後から2年間ベルギー留学し、帰国後の第二詩集「こがね蟲」1923(29歳)では耽美派の象徴詩人になっていた。 奔放な性…
だいたいが殺伐としたロックの世界の中でラヴィン・スプーンフルの音楽を思うと、胸に暖かい灯がともるようだ。こんなバンドを他にさがしてもいない-とまで言うと誇張になってしまうが、スプーンフルを聴いたことがある人なら唯一無二の存在感を忘れること…
萩原朔太郎(1886-1942)は群馬県生まれの詩人。生涯の生計を父親の遺産でまかない、著作からの収入はなかった。日本語の可能性に挑んだ20世紀最大の詩人。デビューは遅咲きで28歳。新鮮な作風で一躍注目を浴びた。 『旅上』 ふらんすへ行きたしと思えども ふ…
シド・バレット(1946-2006)はイギリスのロック・ミュージシャン。ピンク・フロイドのオリジナル・メンバーで、グループのファースト・アルバム「夜明けの口笛吹き」1967の魅力はほとんどシドの曲、ギター、ヴォーカルにあると言っていいだろう。 当時フロイ…
昔むかし、40年以上昔、イギリス制作のテレビ・シリーズで『謎の円盤UFO』というのがあった。ブリティッシュ・ロックのファンにも『プリズナーNo.6』と並んで人気の高いこの番組は孤高のシンガー・ソングライター、ニック・ドレイクのお姉さんがヒロイン…
ニック・ドレイク(1949-1974)はビルマ(現ミャンマー)生まれのイギリス人シンガー・ソングライター。生前発表の3枚のアルバムはいずれも商業的成功をおさめなかったが没後20年を経て再評価され、70年代イギリス最高のフォーク・ロック・シンガーと目されるよ…
左川ちか(1911-1936)のこの写真は、北海道の女子高を出て上京し、銀座の出版社に勤めながら新進詩人としてデビューした頃の一枚ですね。当時のモダン・ガールの典型的なファッションなのでしょう。ガーリーな作風で70年代になってから評価が高まった尾崎翠(1…
上はもとロキシー・ミュージックでノイズ担当ブライアン・イーノの「アナザー・グリーン・ワールド」1975、中はヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターのリーダーのソロ・アルバム、下はクラシカル・プログレのルネッサンス「お伽噺(ノヴェラ)」だが、なんの…
プログレ入門編シリーズもついに外道編まできた。上からソフト・マシーン「ソフト・マシーン」1968、ホークウィンド「宇宙の祭典」1973、ロキシー・ミュージック「カントリー・ライフ」1974、見事にジャケットはバラバラである。同じジャンルのバンドとは思…
タイトルはブルース・スプリングスティーンの1stアルバム「アズベリー・パークからの挨拶」1974の掉尾を飾る名曲から(ぼくだってプログレばかり聴いているのではないのです)。ちょうどいい具合に精神疾患と詩について質問をいただきました。不充分ながらお答…
瀧口修造(1903-1979)は富山県生まれの詩人・美術批評家。慶應義塾大学在学中に西脇順三郎を中心とした文学サロンで堀辰雄らと共にモダニズム芸術の薫陶を受け、映画会社勤務のかたわら後の1967年に「瀧口修造の詩的実験1927~1937」にまとめられる作品を発表…
今回の三大プログレ裏番長は、またまた強烈なジャケットが揃ってしまった。上からジェスロ・タル「パッション・プレイ」1973(米チャート1位)、ジェントル・ジャイアント「ジェントル・ジャイアント」1970、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター「ポーン・ハ…