人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

詩の愉しみ(2・石原吉郎)

今回も石原吉郎を。この人は24歳で応召され、敗戦をソヴィエトで迎えてシベリアで8年間の強制労働を送った、いわゆる抑留兵。初期作品はその経歴を知らないとやや難解だが、中期以降は題材も広がってくる。「相対」を引く。 おのおのうなずきあった それぞれ…

詩の愉しみ(1・山村暮鳥)

まず大好きな室生犀星の晩年の佳作を紹介する。西脇順三郎が「マラルメ以上にマラルメ的」と絶賛した一篇だ。題して「舌」。 みづうみなぞ眼にはいらない、 景色は耳の上に つぶれゆがんでいる、 舌といふものは おさかなみたいね、 好きなやうに泳ぐわね。 …

バカ話(1・序説)

しまったあ、と少し後悔、でも感服多大な気分だ。言うまでもなくリクエスト受け付けますの件で、初めて来たお題は「出会い」、今回は「バカ話」と来た。どちらも括りがでかすぎて焦点が絞り込めない。ぼくは普通に「ヌーヴェル・バーグ」とか「ライター生活…

死と暴力(2・谷岡ヤスジ)

日々訪問者数が減りつつあるこのブログですが皆さまいかがお過ごしでしょうか。ぼくは午前中歯科医院で月に1度のメンテナンスを受けてきて気持ちよかった(いずれ書くが、ぼくは42歳にして全歯を失ったがかろうじて歯茎は残っていたので32本全てを義歯にする…

死と暴力(1)

ラーメン屋の戸を開けると、人が倒れていた。ぼくより少し年上の中年男性と女性店員が介抱していた。大丈夫ですか?声は聞こえますか?倒れていたのはお婆さんだった。店はお昼時で9分の客入りだったが静まりかえっていた。 「何か役にたてることはありませ…

ゴールデン・バット

駅前の酒屋は小中学校時代の同級生が店主、奥さんも同級生だ。この町に戻ってから暫くは、煙草を買っても気づかれず、ぼくも名乗らなかった。それも不自然か、と数ヶ月して名乗ると、奥さんが「私も覚えてない?」「同級生で結婚なんて珍しいね」「そうでも…