人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ボブ・ディラン『北国の少女』

今回の曲はアルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」'The Freewheelin' Bob Dylan'1963(上)に収録(後に「ナッシュヴィル・スカイライン」'Nashville Skyline'1969で再録音=下)、原題'Girl From The North Country'。 ボブ・ディラン(1941-)は最初、当…

娘たちへの贈り物

一昨日の夢では次女に先立たれるなど実に陰惨な目にあったが、先週からいそいそとヴァレンタインと進級祝いを揃えて娘たちのことを思う時間が多かったからだ。妻はともかく娘たちは、ぼくをたまには思い出すだろうか?ブログで訳載中のボブ・ディランの曲で…

『アイ・シャル・ビー・~』

原題'I Shall Be Released'。これはボブ・ディラン本人(「グレイテスト・ヒッツVol.2」1971・写真上)よりもザ・バンドのヴァージョン(「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」1968・ジャケットもディラン画・写真中)で知られているかもしれない。いや、確…

復刻・市島三千雄全詩集(4)

新潟商業中退後、家業の洋品店を経営したが、その後上京。1925年2月萩原朔太郎の推薦で入選。新潟の詩友と同人誌「新年」を創刊。1926年8月以後は同誌への発表が中心となる。これが知られる市島の全履歴になる。 『痩せていて悪知恵がある』 痩せている 其の…

ボブ・ディラン『女の如く』

原題'Just Like A Woman'、アルバム「ブロンド・オン・ブロンド」'Blond On Blond'1966収録。当時の動向はディランの「追憶のハイウェイ61」とビートルズの「ラバー・ソウル」ショックでストーンズは「アフターマス」、ザ・バーズは「昨日より若く」、ビーチ…

日記(2月9 日~10日 )

…こんなかたちでなら会いたくはなかった。それは向うも同じだろう。考えたことすらなかった。ぼくは寝つけず、隣で寝入っているふたりがいらだたしくなり、ふたりをいっぺんに抱きしめながら思った。こんなふうに妻と娘ふたりの家族一緒だった寝室でまたぼく…

ディラン『シー・ビロングス~』

ボブ・ディラン(1941-)のロック転向第1作(通算5作目)「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」'Bringing It All Back Home'1965(写真上)収録、原題'She Belong To Me'。カヴァーは意外に少なく、ザ・ナイス(キース・エマーソン在籍)「クラシック+…

日記(2月6 日~8日)

平成24年2月6~8日。月・火と雨だったが水曜は湿り気をおびてしのぎやすい。先月1か月で電気料金1万円の元凶になった温風ヒーター(写真上)はしまいこんだ。替りに同時期に購入したワット数半分の小型ヒーターを使う。加湿器のテレビCMで、 「湿度が上がると…

山村暮鳥『三人の処女』ほか

詩集「聖三稜玻璃」1915.12以前に山村暮鳥(1884-1924)は「La Bonne Chanson」1910.8、「三人の処女」1913.5がある。暮鳥のややこしいのは創作と刊行順が前後したり、「三人の処女」のように原編集版と改訂編集版があり、島崎藤村序文の後者は改訂前とは別物…

ディラン『見張塔からずっと』

ボブ・ディラン(1941-)はそろそろデビュー50周年、カヴァー・ヴァージョンも4桁では済むまい。なかには本人以上にヒットしたものもある。たとえばジミ・ヘンドリックス「エレクトリック・レディランド」1968(写真下)収録の『ウォッチタワー』'All Along The …

大手拓次の初期詩篇

大手拓次(1887-1934)も山村暮鳥(1884-1924)同様専門的な研究が行われているが、郷土詩人・自然詩人の風貌もある暮鳥は各地に詩碑が建立されるほど今日では愛され、あの「いちめんのなのはな」詩碑さえある。それにひきかえグロテスクでエロチックな表現が続…

ディラン『きみは大きな存在』

今回の曲はしっとりとしたバラードで隠れた人気がある。原題は'You're A Big Girl Now'、アルバム「血の轍」'Blood On The Tracks'1974に収録。ニューヨークのバンド、ラヴィン・スプーンフルに'You're A Big Boy Now'という同名映画主題歌があり(1966年)、…

続「顔」ジャケット

先日「顔」でLPジャケットを集めてみたところ、たいへん気持悪いと好評をいただいた。実はまだまだある。しかも発表から40年あまり経ってロックの古典的名作と目されているアルバムにもこれでもか、というくらい醜悪な「顔ジャケ」があって、今でも四分の一…

復刻・千田光全詩集(3)

『失脚』 私は、私の想像を二乗したような深い溝渠の淵に立っていた。その溝渠の上には、溝渠から噴き上がったような雲が夕焼を映して蟠っていた。 不意に人のけはいがしたので雲から目を落すと、そこに一人の少年が私と同じような姿勢で、雲から目を落して…

日記(2月3 ・4・5 日)

平成24年2月3日(金)~5日(日)、5日記。18時間睡眠から起き出して子供番組を楽しみ、寝汗をシャワーで流してくる。お隣の換気扇からは豚汁を煮ている匂いが外廊下に漂い、ぼくの部屋にも入ってくる。以前の住人は非アメリカ黒人男性と日本人女性のカップルで(…

ディラン『オール・アイ~』

今回も以前紹介した『悲しきベイブ』と同じ「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」1964(写真上)から、その冒頭のナンバー。このアルバムからはザ・バーズが11曲中4曲もカヴァーしている。これもその1曲(アルバム「ミスター・タンバリン・マン」1965/写…

復刻・市島三千雄全詩集(3)

●無題(開場の…) 開場の挨拶と共に山の中間につまらないものひらいて そのくわらっとしたのも後になる 悪い少女は丸いものを上る 其処は転くり返ったのである 自分の所有物の処分に因って居るどころかもう帰ってきた様子を規めている 地球儀全体が秋なのだろ…

ディラン『くよくよするなよ』

原題'Don't Think Twice,It's Alright'、邦題も歯切れいい人気曲だ。収録アルバムは「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」'Freewheelin' Bob Dylan'1963で、「風に吹かれて」「北国の少女」「はげしい雨が降る」「戦争の親玉」など2作目にしてソングライター…

復刻・千田光全詩集(2)

『赤氷』 山間から氷の分裂する音は河の咽喉を広め始めたと共に氷流だ。ドッと押し寄せる赤氷だ。 新国境の壁に粉砕される赤氷だ。赤氷から生えている掌形の花。 山間に於ける数年間の閉塞と雖(いえど)も、脂の乗った筋肉のような茎だ。が然し、新国境の壁に…

この人を見よ!

エッケホモー。というのがラテン語で「この人を見よ」らしいが、とぼけた響きだ。西脇順三郎が後期の詩でさかんに「ポポーイ」「ババーイ」という感嘆詞を使っている。古代ギリシャ語の哀嘆だという。もちろん西脇は現代日本に「ポポーイ」と響かせることで…

復刻・市島三千雄全詩集(2)

●無題(燈台も…) 燈台も気象台も人々を超越しているから そして二人共長く離れて砂丘にある 赤い旗は象形文字的であるし船に見せている 漁師は同化(な)れているから無意識である 砂丘は広大で赤い旗が動くばっかりで気象台は西洋館であるし 浜は、ペンキで明…

ボブ・ディラン『おれはさびしくなるよ』

ボブ・ディラン(1941-)には話題に上がらないが胸に迫る佳曲がいくつもある。'You're Gonna Make Me Lonesome When You Go'(アルバム「血の轍」'Blood On The Tracks'1974収録・写真上)もそのひとつで、ベン・ワットに新鮮なカヴァーがある(1982年・写真下)。…

ハモンド三人娘

今回は女性ヴォーカルをフィーチャーしたオルガン・ロック。まずタイトルから列挙してしまおう。 ●アフィニティAffinity/'Affinity'英1970 ●フランピーFrumpy/'Frumpy2'西独1971 ●サンドローズSandrose/'Sandrose'仏1972 ●ジュリー・ドリスコール,ブライアン…

ボブ・ディラン『アイル・キープ・イット・ウィズ・マイン』

ボブ・ディラン(1941-)には本人の録音がない多くの名曲があり、65年に作られたこの'I'll Keep It With Mine'もそのひとつ。ジュディ・コリンズ、またはニコ(アルバム「チェルシー・ガール」1968収録・写真下)への提供曲として作られた。つまり本来は女性歌手…

前兆日記(1 月27日~ 31日)

書き始めるにあたって、まず同時進行で作られているはずの図版の内容とスペースを編集者と打ち合せる。ぼくがフリーライター、確定申告では作家(一括されちゃうのだ、どんなに異なるジャンルでも)だった頃の回想は去年の夏に集中連載した。最近は詩と音楽の…