人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ジミヘン系3連発+1(2)

今回掲載のアルバムは、 ●Socrates'Phos'1976(Gr.) ●Hurdy Gurdy'(same)'1971(Dan.) ●Possessed'Exploration'1971(U.K.) ●Far Out'日本人'1973(JP.) の4枚です。その前に前回紹介のアルバム解説を。 ●ハイ・タイド「シー・シャンティーズ」 42年前の元祖ゴス…

高橋新吉『ダダイスト新吉の詩』

高橋新吉(1901-1987・愛媛県生れ)は日本で最初にダダイストを名乗った詩人(『ダダイスト新吉の詩』1923)、中原中也がもっとも敬愛した詩人、そして精神医学の分野では今なお特異例とされる。その前に、前記詩集から著名な一篇を。 『(皿)』 高橋 新吉 皿皿皿…

ジミヘン系3連発(1)

ジミヘンなどと気安く呼ぶが、実はとってもえらい人。ひょっとしたらビートルズよりもボブ・ディランよりも決定的にロックを変えてしまった人。それがジミ・ヘンドリックス(1943-70)です。というわけでジミヘン本人は有名なのですが、問題はジミヘン目指して…

ディラン『アイ・ウォント~』

シンプルなタイトルだ。原題'I Want You'、アルバム「ブロンド・オン・ブロンド」'Blond On Blond'1966収録。一般にボブ・ディランのロック転向3部作(「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」1965・「追憶のハイウェイ61」同年)の追尾を飾るこの2…

日記・3月13日(火)

今日(3月13日・火曜)は「午後のロードショー」で「殺人魚フライング・キラー」(原題はただの「ピラニア」笑)は見たし、宵の口からはMXテレビで新作公開記念春休み特番(なぜ地方局?)「プリキュア・オールスターズDX・みんなともだち!奇跡の全員大集合」(「…

山本陽子の詩業(再録)

今回は代表作「遥るかする、するするながらlll」1970を紹介する。28行、全編の5分の1に当る。原文も横組み。 遥るかする 純めみ、くるっく/くるっく/くるっくぱちり、とおとおみひらきとおり むく/ふくらみとおりながら、 わおみひらきとおり、くらっ/ら…

貧乏人を殴り倒せ!

とにかく払えないものは払えない。払う意志はある。ただし一括は到底無理。さてどうするか-入院中は動きようもなく、退院したその足で市役所に相談に行きました。入院中に書面はまとめてありました。確定申告ならもう二十歳の時からやってる。 債務相談専門…

詩人・山本陽子(再録)

かつての「現代詩手帖」はキャンプな雑誌だった。これと「映画評論」「新劇」のバックナンバーは探す価値があった。 雑誌といえど作品と批評のアンソロジーと見れば書籍に劣らない重みがある。もちろん目玉になる作品あればこそだが。 1964年生まれの筆者だ…

私は見た…

この頃は昼寝などすると自分とはまったく関係のない夢を見るようになってきた。ついさっきも「二郎さんに先立たれた欽ちゃんの悲哀」というわかりやすい内容の夢を見ていたところだ。さて、先週で市島三千雄全詩集・千田光全詩集も終り、ボブ・ディラン訳詞…

『マイ・バック・ペイジズ』

ザ・バーズはデビュー曲でNo.1ヒット『ミスター・タンバリン・マン』1965以来アルバムには必ずディラン曲が恒例で、20曲にも及ぶ中には本人の録音より膾炙したものも多い。「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」'Another Side Of Bob Dylan'1964からの…

夜ごと太る女のために・性愛編

さて、今回のテーマはずばりセックスです。書く前からナーバスです。相手あってのことですからね、なにしろ。 性犯罪者は薬物治療よりもちょん切るというご提案ですか?なんと過激な(笑)。しかしレイプは殺人と同等の重罪です。それは人格を踏みにじります。…

『アイ・スリュウ・イット~』

ボブ・ディラン(1941-)問題のカントリー・アルバム「ナッシュヴィル・スカイライン」'Nashville Skyline'1969(写真上)収録。原題'I Threw It All Away'。後にライブ・アルバム「激しい雨」'Hard Rain'1976(写真下)にも収められる。この2枚のLPジャケットを見…

「二十歳の原点」

「二十歳の原点」1971(写真上)といえば大学生・高野悦子(1949.1.2-69.6.24・栃木県生れ=写真中)の二十歳の誕生日から鉄道自殺までの半年間の日記を書籍化したベストセラーですね。自殺した文学青年の手記としては原口統三の「二十歳のエチュード」や岸上大…

ディラン『寂しき4番街』

今回はボブ・ディラン(1941-)には珍しいシングル独自曲で(後に「グレイテスト・ヒッツ」1966に収録)発売中止作品を除けば純シングルはこれが初になる。アルバム「追憶のハイウェイ61」からのシングル『ライク・ア・ローリング・ストーン』がチャート1位寸前…

躁鬱の予習と回想

最初の頃は主治医も経過観察だからなかなかはっきりした説明はないし、パニック発作はともかく鬱病は調べるほど当てはまらないことが多い…結局「躁鬱病」と診断されたのは受診から1年半です。最初から躁鬱病と判明することは滅多にないらしい。躁鬱病ならそ…

復刻・千田光全詩集(8・完)

前回の『善戦~菱山修三君へ』が詩作品と名銘たれた最後の千田光作品だが、もう一篇「麺麭(パン)」誌のコラム欄「雑感」に無題の作品がある。コラムではなく明らかに散文詩だろう。おそらく、同誌のプロレタリア文学誌としての性格上このような扱いになった…

イタリアのアナーキスト・バンド

題名が的確にこのバンドを伝えるかは疑問ですが、アレア(Area)といえば泣く子も黙る70年代イタリアの最重要バンド、一聴してぶっ飛ぶヘヴィー級のインパクトでは比類がありません。また日本の感覚では理解し難いことですが、彼らはイタリア共産党の政治集会…

『ラヴ・マイナス・ゼロ~』

今回のボブ・ディラン(1941-)は原題'Love Minus Zero/No Limit'、アルバム「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」'Bringing It All Back Home'1965収録で、これは何枚もあるディランの重要アルバムでも最重要に挙げられる作品。まずサウンドがロ…

ぷりぷり県事情

「ぷりぷり県」というのは15年ほど前の吉田戦車さんの漫画で、お国柄を県ごとに検証する学術的というか、飲み屋の馬鹿話的というか、そういう作品でした。たとえば「かかあ天下の国」とかね(それしか憶えていない)。 吉田さんは私が1年ほど勤めた編集・出版…

復刻・市島三千雄全詩集(8 ・完)

今回で市島三千雄(1907-48)全詩集も最終回。全8回・13篇がこの詩人の全容になる。18歳から詩を始め、20歳で足を洗う。41歳の逝去までまったく詩に還るつもりはなかったのかもわからない。本人にはおそらく方法的な自覚はなく、西脇順三郎・岡崎清一郎の詩法…

診察日日記・3月5日月曜・雨

世の中には詮索してもどうにもならないことがあります。たとえば数週間前の空き瓶回収で、ゴミ収集所に出しておいたおろしニンニクの空き瓶はなぜ持っていかれないのか(フタは分別し、ラベルも剥がしてきれいに洗ってあるのに)。こんな雨の月曜日に昼前から…

ディラン『運命のひとひねり』

アルバム「血の轍」'Blood On The Tracks'1974収録、ボブ・ディラン(1941-)デビュー12年目、33歳の作品。原題'Simple Twist Of Fate'。この曲も初期の別れの歌と違うのは、失恋でもなく愛の冷却でもなく、築き上げた絆が破局したという点になる。そこが20代…

もうすぐ卒園式

私の娘たちが保育園児だったのはもう5年も前になりますが、送迎は私の役目でしたので、迎えに行くとワーッと子どもたちが殺到してくるので楽しい毎日でした。私もまた、子どもにしか見えないものをいい大人になっても見える性でした。ズボンの片膝はいつも子…

復刻・千田光全詩集(7)

千田光が残したもので、作品として発表されたのは次の一篇が最後になる。献呈の菱山修三(1909-1967・東京生れ)は詩集「懸崖」1931、「荒地」1937で知られる散文詩人で、千田との親近性は強い。 『善戦~菱山修三君に』 敵だ。敵がいる。私にそう遠くない所だ…

spoil,または江戸前寿司について

はい、江戸前にぎりです。私、確か去年は2回、この数年は年間3回以上寿司など食べたことはありません(のり巻き、稲荷は除く)。今日(3月3日)は思い切って夕食にと買って来てしまいました。 午前中は丘の上のスーパーまで行脚しました。朝は上天気に安堵し、土…

ディラン『スペイン革のブーツ』

ボブ・ディラン(1941-)のアルバムでも「時代は変る」'The Times They Are A-Changin''1964はラブ・ソングが少なく特に硬派な印象を受ける。今回の'Boots Of Spanish Leather'はメロディもギターもまったく『北国の少女』と同じ。ラブ・ソングというより伝承…

ひなまつり

なんのヒネリもありませんが、今年も例年のごとくひなまつりがやって来ました。妻も私もこだわりはなかったので、娘ふたりをさずかったとはいえ格別祝ったことはありませんが、妻の実家では孫娘の誕生以来、雛人形にふたたび出番が来たようでした。 私と妻は…

復刻・市島三千雄全詩集 (7)

●無題(草は赤を…) 草は赤を持って来るのである地主であるから願くば地球を根で真白にして火星の様な線状の所にしようとしている 根は蛆と同じ体格を持っていたから道が無い固ってしまうのである 風は何処からか赤を持って来るかわからない場所は一点地なので…

蠱惑的美女ジャケ

さて毎回ご紹介している昔のロックのジャケットですが、1970年前後の数年間に集中しています。ジャズならもう10年早いところで、そのジャンルの全盛期はやはりジャケットも冴えている。これらの作品も決して大衆的人気を勝ち得たとは言えませんが、気がつけ…

『アイ・ドント・ビリーヴ~』

ボブ・ディラン(1941-)フォーク時代最後のアルバム「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」'Another Side Of Bob Dylan'1964より、原題'I Don't Believe You'。これも名曲。発掘ライブ「ロイヤル・アルバート・ホール1966」ではホークス(後のザ・バンド)…