人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

サイレント映画 Silent

映画日記2018年1月28日~30日/日本の'20年代サイレント時代劇(1)

相当無差別に映画好きの人でも、普段もっとも観る機会が少ない映画というと非西洋文化圏の映画になるでしょうが、身近なようで観られないというとサイレント期の日本映画になるのではないでしょうか。それは観ようにも現在残っている作品自体があまりに少な…

映画日記2017年10月30日・31日/ルイ・デリュック(Louis Delluc, 1890-1924)のたった4本(後)

Coffet Integral Louis Delluc PV : https://youtu.be/vkIUGEO-fgw (6:45) ルイ・デリュックの監督作品7作のうちフィルムが失われて今日観ることができないのは、 『黒い煙』Fumee noire (1920年/第1作) 『沈黙』Le Silence (1920年/第2作) 『雷』Le Tonnerr…

映画日記2017年10月28日・29日/ルイ・デリュック(Louis Delluc, 1890-1924)のたった4本(前)

Coffet Integral Louis Delluc PV : https://youtu.be/vkIUGEO-fgw (6:45) フランスのサイレント映画がようやく独自の特色を示した頃の代表的な映画監督がルイ・デリュック(1890-1924)です。フランスはエジソン(アメリカ)と同時に写真技術者リュミエール兄弟…

2017年映画日記5月11日~5月13日/ フリッツ・ラング(1890-1976)のサイレント時代(5)

さて、フリッツ・ラングのサイレント時代の監督作品も今回で(現存作品は)全作品を観直したことになります。ラングのサイレント作品の中で突出した人気を誇る『メトロポリス』も含まれています。本文で触れますが、現在決定ヴァージョンとされている『メトロ…

2017年映画日記5月9日・10日/ フリッツ・ラング(1890-1976)のサイレント時代(4)

フリッツ・ラングの作品中でもご紹介するのがもっとも面倒なドイツ時代劇映画の金字塔の番が回ってまいりました。紀元5~6世紀に発祥したとされる伝承に基づく作者不詳の大作大長編叙事詩『ニーベルンゲンの歌』は13世紀初頭に成立したと推測され、16世紀初…

2017年映画日記5月7日・8日/ フリッツ・ラング(1890-1976)のサイレント時代(3)

フリッツ・ラングの大作と言えば、長編第3作で今日でも観ることができるフリッツ・ラングのもっとも初期の作品『蜘蛛 第1部・黄金の湖』1919も長編第5作『蜘蛛 第2部・ダイヤの船』1920と合わせて2時間50分の大作でしたが、あの作品では第1部と第2部に連続性…

2017年映画日記5月4日~5月6日/フリッツ・ラング(1890-1976)のサイレント時代(2)

前回に続いてサイレント時代のフリッツ・ラング(1890-1976)監督作品の第2回です。この時代のものは完全な初公開時のオリジナル・プリントが残っていることがまずめったになく、トーキー時代(1928年以降)には上映される機会もないまま破棄されさり放置された…

2017年映画日記5月1日~5月3日/フリッツ・ラング(1890-1976)のサイレント時代(1)

オーストリア生まれのユダヤ系ドイツ人映画監督フリッツ・ラング(1890-1976)はゴダールの『軽蔑』1963で本人役で出演したのが最後の映画界での仕事になりましたが、非常に印象に残る役柄でラングというとあの映画のイメージが強い人も多いのではないでしょう…

2017年映画日記3月26日~31日/D・W・グリフィス(1875-1948)の後期作品(後)

(『イントレランス Intolerance』1916のため造られた実物大の古代バビロンの城門のセット) (実物大のスフィンクスのセット) 前編でご紹介した2作品、 『嵐の孤児』Orphans of the Storm (1921) 『恐怖の一夜』One Exciting Night (1922) --に続いてグリフ…

2017年映画日記3月26日~31日/D・W・グリフィス(1875-1948)の後期作品(前)

アメリカ映画の父ことD・W・グリフィス(1875-1948)の長編作品は、今回取り上げる後期作品以前に、 『ベッスリアの女王(アッシリアの遠征)』 Judith of Bethulia (1914、長編第1作) *『国民の創生』The Birth of a Nation (1915) *『イントレランス』Intolera…

映画日記2月21日~25日・サイレント時代の成瀬巳喜男(1905-1969)

どこの国でも自国の映画ほど外国映画に較べて粗末に扱われるというか(例外はアメリカ、イタリア、ロシア=旧ソヴィエトくらいでしょう)、他国では長く名作として愛されているのに本国では骨董品扱いという例が多くあります。戦前のフランス映画をもっとも大…

映画日記2017年1月26日~31日・サイレント時代のハリウッド女優(続)

今回も引き続きサイレント時代のスター女優作品を観ていきました。小林信彦氏の『世界の喜劇人』にヴァレンティノもスワンソンも退屈なのにサイレント喜劇は今でも面白いのは何故だろう、という記述がありましたが昭和一桁世代の人が70年代にそう感じたのは…

映画日記2017年1月21日~25日・サイレント時代のハリウッド女優

今回はずばりサイレント時代のハリウッド悪女映画特集で、名のみ知りながら観る機会がなく、そもそも上映すらされない映画ばかりで、いつか観たいと長年思い、つい最近通販サイトで見かけて買ってあったものです。珍しく初めてDVDで観る作品ばかりでどうなる…

映画日記2017年1月1日~5日・黄金時代のチャップリン

新年は大みそかに続きチャップリン映画を参拝いたしました。 自作の主演・監督・脚本家・プロデュースを一手に手がけた大映画作家チャールズ・チャップリン(1889-1977)はイギリスの旅芸人一座のコメディアン出身。2回のアメリカ巡業で勃興期の映画界に活路を…

映画日記2016年12月16日~20日/アルバトロス映画社の映画

(米Flicker Alley社『アルバトロス社作品集』5DVD, 2013) アルバトロス映画社は1917年のロシア革命により1920年前後にフランスに亡命した上流階級や貴族階級の旧ロシア映画人によって設立された映画プロダクションです。プロデューサーのアレクサンドル・カ…

某通販サイトへのDVDユーザーレビュー

この「超高画質名作映画シリーズ」は台湾のメーカーの製品のようで通販価格999円の廉価版は嬉しく、ラインナップは魅力があるパプリック・ドメイン・クラシックが揃っており、字幕の訳もなかなかこなれています。私はサイレント5作『ロイドの要心無用』『キ…

映画「愚なる妻」1922

昨日・おとといはこのブログ初期の(二年半前になる)記事の再録で済ませたくらいで、率直に言って疲れている。このブログはどの記事も1000文字と決めているが、今日は書くことがなくなったら(なくはないのだが、その気力がなくなったら)そこまでで切り上げよ…

ドライヤー『裁判官』『あるじ』

カール・Th(テホ)・ドライヤーと書くだけで気合いが違う気がする。デンマークの巨匠といえばラース・フォン・トリアーではなくこの人だった。活動歴はサイレント期からヌーヴェル・ヴァーグの時代にまでおよぶ。 かつて大島渚が「やはり映画作家はフィルモグ…