人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

再録

ビル・エヴァンス Bill Evans - スパルタカス愛のテーマ Spartacus Love Theme (Verve, 1963)

ビル・エヴァンス - スパルタカス愛のテーマ (Verve, 1963) ビル・エヴァンス Bill Evans - スパルタカス愛のテーマ Spartacus Love Theme (Alex North) (Verve, 1963) : https://youtu.be/nAjjze5Ct44 - 5:10 Recorded at studio with Glenn Gould's piano,…

ヘルダーリン Hoelderlin - 詩人ヘルダーリンの夢 Hoelderlins Traum (Pilz, 1972)

ヘルダーリン - 詩人ヘルダーリンの夢 (Pilz, 1972) ヘルダーリン Hoelderlin - 詩人ヘルダーリンの夢 Hoelderlins Traum (Pilz, 1972) Full Album : http://youtu.be/iGn6nLaTfqU Recorded at Tonstudio Dierks in Stommeln, January 1972 Produced by Rolf…

ビリー・ホリデイ Billie Holiday - 思い出のたね These Foolish Things (Brunswick, 1936)

テディ・ウィルソン楽団・フィーチャリング・ビリー・ホリデイ - 思い出のたねテディ・ウィルソン楽団・フィーチャリング・ビリー・ホリデイ Teddy Wilson and His Orchestra Featuring Billie Holiday - 思い出のたね These Foolish Things (Remind Me Of Y…

七ひき目の小やぎが助かったわけ(後編)

(19世紀末のドイツ版グリム童話本挿絵より) 前回の前編で引用した節までにほぼ、詩人・谷川雁によるグリム童話「おおかみと七ひきの小やぎ」についての1980年代初頭の考察エッセイ「時間の城にかくれた小やぎ」は、結論にまでたどり着いています。あとに続く…

七ひき目の小やぎが助かったわけ(前編)

(19世紀末のドイツ版グリム童話本挿絵より) 今回は1960年代の終わりまでは政治活動家として活動し、1970年代以降には児童教育家に転じた、詩人の谷川雁(1923-1995)の、グリム童話「おおかみと七ひきの小やぎ」についての考察エッセイ「時間の城にかくれた小…

ビリー・ホリデイ - 恋は愚かというけれど (Columbia, 1958)

ビリー・ホリデイ&レイ・エリス・オーケストラ - 恋は愚かというけれど Billie Holiday with Ray Ellis and his Orchestra - I'm a Fool to Want You (Frank Sinatra, Joel Herron, Jack Wolf) (Colubia, 1958) : https://youtu.be/qA4BXkF8Dfo - 3:23 Reco…

小野十三郎「フォークにスパゲッティをからませるとき」(詩集『いま いるところ』昭和64年=1989年刊より)

[ 小野十三郎(1903-1996)近影 ] (82歳(1985年)) (51歳(1954年)) (23歳(1926年)) 詩集『いま いるところ』 浮遊社・昭和64年(1989年)7月7日刊 『小野十三郎著作集』全三巻・筑摩書房(平成2年=1990年)9月・12月・平成3年=1991年2月刊) 『小野十三郎著作集』…

転ぶと三年以内に死ぬ坂&絶壁石段

……だそうです。神社の裏の藪の影で一年中陽が当たらず苔だらけで、ぬめねめした坂だったためそう呼ばれていたと伝わりますが、今では舗装され、ちゃんと石段もついています。登ってみました。動画を貼りつけようとしましたが、できませんでした。だったらも…

初の男性プリキュア!?キュアセバスチャン登場!

2013年7月21日放映とやや古いですが、同年の「ドキドキ!プリキュア♥」でプリキュアシリーズ史上初の男性プリキュアが登場しました。しかも変身アイテムのアタッシュケースを敵の女幹部マーモのコスメケースと取り違え、「キューティーマダム」に変身したマ…

パールズ・ビフォア・スワイン Pearls Before Swine - ワン・ネーション・アンダーグラウンド One Nation Underground (ESP, 1967)

パールズ・ビフォア・スワイン Pearls Before Swine - ワン・ネーション・アンダーグラウンド One Nation Underground (ESP, 1967) Full Album : https://www.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kX1bMQVxxqmPyZjFFJn1IrsgUQlKCQ4wg Recorded at Impact Soun…

創作童話『偽ムーミン谷のレストラン・修正版』より抜粋5話

(11) 第二章。 従者は伝令の役目を果たして引き上げて行きました。戸口まで見送ったのは好奇心旺盛なくせに気取り屋なので谷の陰口を一身に集めているスノークで、ぼんくら揃いでは例外ない谷の住人であるからにはスノークもまたぼんくらのひとりでしたが、…

フェラ・クティ Fela Ransome Kuti & Africa 70 - エクスペンスィヴ・シット Expensive Shit (Sounds Workshop, Nigeria, 1975)

フェラ・ランサム・クティ&アフリカ70 Fela Ransome Kuti & Africa 70 - エクスペンスィヴ・シット Expensive Shit (Sounds Workshop, Nigeria, 1975) Full Album: https://youtu.be/yUNkimxj0Vo Recorded in 1975 Originally Released by Sounds Workshop …

創作童話『夜ノアンパンマン』より冒頭5話

(1) 第一章。 あんパンが初めて製菓店舗の店頭に並んだのは1874年とされており、翌1875年(明治8年)4月4日には花見のために向島の水戸藩下屋敷へ行幸した明治天皇に山岡鉄舟が献上し、お気に召された天皇によりあんパンは宮内省御用達となりました。以降、4月…

シャンタル・アケルマン(1950-2015)の映画

(シャンタル・アケルマン、2012年) ベルギー出身のポーランド系ユダヤ人女性映画監督シャンタル・アケルマン(Chantal Akerman, 1950-2015)の日本劇場公開作品はメジャー資本で完成された『ゴールデン・エイティーズ』'86(リオ主演のアイドル・ミュージカル映…

創作童話『NAGISAの国のアリス』より冒頭5話

(1) 第一章。 10歳のアリスはお姉さんのロリーナ(13歳)と妹のエディス(8歳)といっしょに川のほとりに座り、ドジソン先生のお話を聞くのが好きでした。ドジソン先生は当年とって30歳、男ざかりの数学の先生で、年ごろの男性にはよくあることですが同年輩の男…

創作童話『戦場のミッフィーちゃんと仲間たち』より抜粋5話

(4) キティ亭潜入という突拍子もないミッフィーの提案にアギーもバーバラもウインもメラニーも黙っていましたが、別に無視を決め込んでいたのではなく本来無口なのがうさぎの性質だったからでした。植物は話しかけるとよく育つ、と言われますが、うさぎほど…

創作童話『荒野のチャーリー・ブラウン』より抜粋5話

(14) スヌーピーはチャーリー・ブラウンの世話焼きを日ごろ干渉過剰に感じていました。飼い犬が手を噛むというのを実際にやってみたらどうなるんだろうな。酷たらしい殺人現場、むくろとなって横たわるチャーリー・ブラウン。その頃サングラスで顔を隠した一…

創作童話『偽ムーミン谷のレストラン』より抜粋3話

(29) スナフキンが着いたのは、夜も更けてからのことでした。谷は深い雪の中に横たわっていました。谷の両側にそびえるはずの山はまったく見えず、霧と夜の闇に包まれていました。街の中心地を示すかすかな灯りさえなく、スナフキンは長いあいだ国道から谷に…

シュティフター「水晶」(再掲)

タイトルだけは知られているが、なぜかクリスマス・ストーリーの名作と語られることがほとんどないドイツ文学の古典に、アーダルベルト・シュティフターの「水晶」(短篇集『石さまざま』1853収録)がある。 シュティフター(1805-1868)はボヘミア生れのオース…

ワクチン

(フランスの20世紀詩人アンリ・ミショーのこの散文詩は以前にもご紹介したが、定期的なワクチンとして再び掲載する) ☆ 『手身近かな考え』アンリ・ミショー 西暦4000年には、きっと、ある気取った青年が、傲慢かつ自信ありげな調子で、こんなことを書くだろ…

(再録)吉岡実『聖少女』『桃―或はヴィクトリー』『静物』

吉岡実(1919-1990・東京生れ)は同年輩の鮎川信夫と共に戦後現代詩の2大潮流を創った人で、モダニズムや兵役体験など重なる経歴も多い。だが作品は、これほどかけ離れた詩人はいないと言っていいほどだ。 『聖少女』 吉岡 実 少女こそぼくらの仮想の敵だよ! …

(再録)吉岡実『わがアリスへの接近』1974

戦後現代詩の巨匠のひとり・吉岡実(1919-1990・東京生まれ)は作風の実験にも意識的で、およそ生涯に4期の変化があり、そのいずれもが成功している。今回ご紹介する詩篇は1974年発表、大反響を呼び日本での「アリス」(ルイス・キャロル)ブームの火つけ役とな…

(再録)吉岡実『劇のためのト書の試み』1962

今回はすごいのをいく。まずは作品を。どうすごいかは、読んでみればわかる。この詩人にとってはこれがアヴェレージ作というのも念頭におかれたい。作者にとっては特に力作でも何でもないのだ。 『劇のためのト書の試み』 それまでは普通のサイズ ある日ある…

(再録)鮎川信夫『白痴』1951

鮎川信夫(1920-1986・東京生れ)にはあまり話題にされないが好ましい佳篇がいくつもある。「荒地」同人編「荒地詩集一九五一年版」収録の鮎川詩集は『死んだ男』『アメリカ』『白痴』『繋船ホテルの朝の歌』『橋上の人』の5篇。このなかで『白痴』は力作4篇に…

(再録)鮎川信夫『Who I Am 』1976

戦後現代詩を代表する詩人・鮎川信夫(1920-1986・東京生れ)の作品は、先に『繋船ホテルの朝の歌』1949をご紹介した。今回は1977年の「現代詩手帖」新春号の巻頭を飾りセンセーショナルな話題を呼んだ異色作を取り上げる。 『Who I Am』 まず男だ これは間違…

(再録)鮎川信夫『繋船ホテルの朝の歌』1949

今回は戦後日本の現代詩屈指の一篇をご紹介する。鮎川信夫(1920-1986・東京生まれ)は戦前から詩作を始め、除隊後に詩誌「荒地」の中心となった。作風はエリオット、オーデンの影響が強い。 『繋船ホテルの朝の歌』 ひどく降りはじめた雨のなかを おまえはた…

(再録)大手拓次『春の日の女のゆび』1927

身のこなしも女性的で、生涯独身・童貞だったというこの詩人(1887-1934・群馬県生れ)。「幻視とフェティシズムの詩人」と簡略に紹介してもいいが、幻視もフェティシズムもともに定義の難しい性質だ。空想・エロティシズムとは重なりつつ異なる。覗き趣味、小…

(再録)大手拓次の初期詩編

大手拓次(1887-1934)も山村暮鳥(1884-1924)同様専門的な研究が行われているが、郷土詩人・自然詩人の風貌もある暮鳥は各地に詩碑が建立されるほど今日では愛され、あの「いちめんのなのはな」詩碑さえある。それにひきかえグロテスクでエロチックな表現が続…

(再録)大手拓次『そよぐ幻影』1933 ほか

萩原朔太郎は同世代のライヴァルから影響を受けるのが実に巧みで、「月に吠える」では室生犀星・山村暮鳥、「青猫」では大手拓次(1887-1934・群馬県生れ)の顕著な影響が見られる。犀星は大成したが、暮鳥・拓次の知名度はぐっと落ちる。その一因には生前の評…

(再録)山村暮鳥『風景~純銀もざいく』ほか

山村暮鳥(1884-1924)の詩集「聖三稜玻璃」1915(三稜玻璃は「プリズム」のこと)については前に解説した。この詩集最大の悪評は巻頭作『囈語』と、巻末近い次の作品による。 『風景~純銀もざいく』 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな…