読書感想文・その他文学
[ 小野十三郎(1903-1996)、大正15年=1926年、第1詩集『半分開いた窓』刊行の頃、23歳。] 第1詩集『半分開いた窓』(私家版) 大正15年(1926年)11月3日・太平洋詩人協会刊 野 鴨 僕はあの蘆間から 水上の野鴨を覗ふ眼が好きだ きやつの眼が大好きだ 片方の眼を…
[ 小野十三郎(1903-1996)、大正15年=1926年、第1詩集『半分開いた窓』刊行の頃、23歳。] 第1詩集『半分開いた窓』(私家版) 大正15年(1926年)11月3日・太平洋詩人協会刊 林 秋になつて 郊外の林の中へ入つて行つた 林の中でみたものが魚の骨 林の中から丘の…
[ 小野十三郎(1903-1996)近影、創元社『全詩集大成・現代日本詩人全集10』昭和29年('54年)12月刊より ] 第8詩集『小野十三郎詩集・火呑む欅』 昭和27年(1952年)11月30日・三一書房刊 第4詩集『大阪』 昭和14年(1939年)4月16日・赤塚書房刊 第6詩集『大海邊』…
[ 小野十三郎(1903-1996)近影、創元社『全詩集大成・現代日本詩人全集10』昭和29年('54年)12月刊より ] 詩集『いま いるところ』 浮遊社・昭和64年(1989年)7月7日刊 『小野十三郎著作集』筑摩書房 平成2年(1990年)9月・12月・平成3年2月刊 第二巻所収 フォー…
[ 小野十三郎(1903-1996)近影、創元社『全詩集大成・現代日本詩人全集10』昭和29年('54年)12月刊より ] 詩集『拒絶の木』昭和49年(1974年)5月1日 ・思潮社刊(読売文学賞受賞) 蓮 の う て な 小 野十三郎 銃器と油と 皮革のにおいのするところにいる。 生き…
[ 伊東静雄(1906-1953)、大阪府立住吉中学校在職時代 ] 伊東静雄詩集(創元選書)桑原武夫=富士正晴編 創元社・昭和28年(1953年)7月30日刊 寛 恕 の 季 節 伊 東 静 雄 まず病者と貧者のために春をよろこぶ 下着のぼろの一枚をぬぐよろこびは 貧しい者のここ…
[ 山村暮鳥(1884-1924)、大正2~4年頃(1913~1915年)、第1詩集『三人の處女』(大正2年)~第2詩集『聖三稜玻璃』成立時。] 『聖三稜玻璃』初版=にんぎよ詩社・大正4年 (1915年)12月10日発行、函・表紙 A' F U T U R 山 村 暮 鳥 まつてゐるのは誰。土のうへ…
(創元社『全詩集大成・現代日本詩人全集13』昭和30年1月刊より、西脇順三郎肖像写真) 詩集『近代の寓話』昭和28年(1953年)10月30日・創元社刊(外箱・表紙・裏表紙) 無 常 西脇順三郎 バルコニーの手すりによりかかる この悲しい歴史 水仙の咲くこの目黒の山 …
(創元社『全詩集大成・現代日本詩人全集13』昭和30年1月刊より、西脇順三郎肖像写真) 詩集『近代の寓話』昭和28年(1953年)10月30日・創元社刊(外箱・表紙・裏表紙) 近 代 の 寓 話 西脇順三郎 四月の末の寓話は線的なものだ 半島には青銅色の麦とキャラ色の…
(大正10年、東京高等師範学校卒業頃の八木重吉、満23歳) (手稿小詩集「ことば(大正14年6月7日)」より「あかんぼもよびな」直筆稿) 明 日 八 木 重 吉 まづ明日も目を醒まそう 誰れがさきにめをさましても ほかの者を皆起すのだ 眼がハッキリとさめて気持ちも…
(創元社『全詩集大成・現代日本詩人全集13』昭和30年1月刊より、西脇順三郎肖像写真) 詩集『近代の寓話』昭和28年(1953年)10月30日・創元社刊(外箱・表紙・裏表紙) ア ン ・ ヴ ァ ロ ニ カ 西脇順三郎 男と一緒に―― その男は生物学の教授―― アルプスへかけ…
(創元社『全詩集大成・現代日本詩人全集13』昭和30年1月刊より、西脇順三郎肖像写真) ま さ か り 西脇順三郎 夏の正午 キハダの大木の下を通つて 左へ曲つて マツバボタンの咲く石垣について 寺の前を過ぎて 小さな坂を右へ下りて行つた 苦しむ人々の村を通…
町 医 祝 算之助 夜とともに、町医者はやつてきた。家来をつれて。その家来は、たぶん同じ猟ずきな仲間ででもあろう。 ちいさな部屋のなかは、黄いろい絵具が、べたべたちらかっている。私はどのようにも、片ずけきれないのだ。 そのまんなかに、金魚をにぎ…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉は遺稿の多さ、詩の多作さに反して概括的な詩論はおろかまったく自作解説を残さなかった詩人で、八木がもっとも傾倒した北村透谷は詩よりも批評…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉の第1詩集『秋の瞳』(大正14年=1925年8月1日刊)は大正10年(1921年)春以来の3年間の詩稿をまとめた大正12年(1923年)1月~大正14年(1925年)3月ま…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉詩集『秋の瞳』 大正14年(1925年)8月1日・新潮社刊 八木重吉詩集『貧しき信徒』 昭和3年(1928年)2月20日・野菊社刊 この八木重吉の第2詩集『貧し…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉詩集『貧しき信徒』 昭和3年(1928年)2月20日・野菊社刊 この八木重吉詩集の読解はあまりに書誌面の紹介に拘泥しているように見えるかもしれませ…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 第1詩集『秋の瞳』編纂完了後に始まる晩年2年間の八木重吉の手稿は小詩集(病床ノオト)32冊分になり、これに1~32と番号を振ると、小詩集25、26は未整理分…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉の第1詩集『秋の瞳』全117編(大正14年=1925年8月1日新潮社刊)が作者手控えの、大正10年春以来の詩稿をまとめた大正12年(1923年)1月~大正14年(1…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 東京府南多摩郡堺村(現東京都町田市)生まれの英語教師・キリスト教徒の詩人、八木重吉(1898年=明治31年2月9日生、1927年=昭和2年10月26日没、享年29歳8…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉詩集『秋の瞳』 大正14年(1925年)8月1日・新潮社刊 これまでの再読三読を概括しますと、八木重吉の第1詩集『秋の瞳』収録詩編の内容はおよそ3種…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 前数回では八木重吉の第1詩集『秋の瞳』を読み返し、その全117編の収録詩編を、 ●(a)生活詩・心境詩(詩的表現が断片的に過ぎ、生活報告や心境告白に留ま…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 始めた時には八木重吉の第1詩集『秋の瞳』'25(大正14年10月刊)についてこんなに割り切れない、読み方に手こずる詩集だとは予想していませんでした。これ…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 前数回で八木重吉の第1詩集『秋の瞳』を読み返し、その全117編の収録詩編を、 ●(a)詩的表現が断片的に過ぎ、生活報告や心境告白に留まるもの……「序」+40…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] これまで八木重吉の第1詩集『秋の瞳』を何度も読み返し、その全117編の収録詩編は、 ●(a)詩的表現が断片的に過ぎ、生活報告や心境告白に留まるもの……「序…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 前2回では詩集『秋の瞳』を前半序+58編、後半59編を傾向ごとに3種に分けました。あくまで筆者の主観的分類であり、分類の3種の系統も異論は承知の上です…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] ひきつづいて八木重吉詩集『秋の瞳』後半の、通し番号を振れば(59)~(117)の59編を3種に大別してみました。前回、「序」と通し番号(1)~(58)の詩編を分類…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 前回では八木の同世代・同時代の詩人、高橋新吉(1901-1987, 第1詩集『ダダイスト新吉の詩』'23=大正12年でデビュー)が3年間の入院(脳医学的薬物療法のな…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉詩集『秋の瞳』 大正14年(1925年)8月1日・新潮社刊 ふだん読者が詩と思って読んでいるものは「詩」と名銘って発表されているから作者によって「…
[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ] 八木重吉詩集『秋の瞳』 大正14年(1925年)8月1日・新潮社刊 [ 高橋新吉(1901-1987)、辻潤編集解説・佐藤春夫序文・第1詩集『ダダイスト新吉の詩』'23刊行…