人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

レネ「去年マリエンバートで」

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この庭園の人々の長ーい影は(画像2)地面に描いたものだという。もし劇場でまた見る機会があればよく注意してみよう。この映画は80年代になってもフェリーニの「82/1」、ルイ・マル「鬼火」、トリュフォー「大人は判ってくれない」突然炎のごとく」、ゴダールの「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」と並んで60年代ヨーロッパ映画の古典(ヴィスコンティ「山猫」のリバイバルも大ヒットしたが、少しニュアンスが違う)としてよく映画館にかかった。
「マリエンバート」は100席ほどのミニシアターで見た。「82/1」は1,000席はある映画館だったが、朝行って夕方の回をようやく見れた(整理券をもらって昼食を食べに行った)ほどの人気作品だった。

なんで見たかというと、当時つきあっていた女の子とはデートは必ず映画か演劇だったのだ。18歳頃のことだ。最初の恋人だったが足掛け6年つきあって別れた。次の恋人ともデートは映画で、足掛け8年で別れた。次の恋人とはすぐ結婚したのであまり映画には行けなかった。離婚まで12年と、どうも交際期間の伸び率に法則性があるようだ。いつものことだが話がそれた。「去年マリエンバートで」の話だ。

最初見た時には恋人ともども「なんだかよくわからないね」と煙に巻かれた。図書館でシナリオを見つけてふたりとも読んで話し合った。また見に行った。こんなに面白い映画だったのか、と興奮しながら見た。彼女も同じだった。映画が終るやいなや顔を見合せて「おもしろいねー!」

映画辞典を見よう(田中純一郎「日本映画発達史」)。

去年マリエンバートで(仏1961)「突然炎のごとく」に似た心象映画で、物語性や外的な人間関係のドラマを排し、内的な心象状況や情念の葛藤を映像によって組み立てるといった作り方である。突然会った男から妄想的に愛情を打ち明けられ、いつかその言葉に惑わされ打ち負かされる女の話。監督アラン・レネ。ベニス映画祭グラン・プリ受賞作。キネマ旬報ベストテン第三位(昭和39・5・1)

すごい!これ全部大嘘です(笑)。監督のレネとシナリオを書き下ろしたアラン・ロブ・グリエは大爆笑するだろう。ロブ・グリエは戦後フランス小説のアンチ・ロマン(反小説)を主導した作家、この映画は黒澤明羅生門」へのフランスからの回答だという。二度見れば誰でも判ります。