人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補2)元GSによるニュー・ロック

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タイトルの「ニュー・ロック」には説明が必要だろう。いわゆるGS終焉以降の新しいロックを指す呼称のひとつで、アート・ロック、サイケデリック、ブルース・ロック、ハード・ロックプログレッシヴ・ロックなどをひとまとめにして「ポストGS(GS以後)」のロックを指したのが「ニュー・ロック」と言える。フォークは含まない。この呼称は長年廃れていたが、90年代後半にこれらの再評価が進む際に時代区分のみならず一種のミクスチャー/ストーナー・ロックという音楽的な共通性も含めて復活した。掲載アルバムは、
○フード・ブレイン「晩餐」1970.8(画像1)
ミッキー・カーチス&サムライ「侍」1971.8(画像2・原盤ドイツ70年)
○「PYG オリジナル・ファースト・アルバム」1971.8(画像3)
○「スピード・グルー&シンキ」1972.3(画像4)
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このうちサムライはGS時代から「ミッキー・カーチス&サムライズ」として活動していたが、日本ではポップなシングル2枚とカンツォーネのインスト・アルバムを一作出しただけで東南アジアからヨーロッパ諸国を巡業していた。ロンドン録音・ドイツ発売の2枚組アルバム「侍」を出した頃には経済的にも困窮をきわめて帰国したのだった。

元GSによるスーパー・セッションの伝説的アルバムの筆頭に上がるのがフード・ブレインだろう。元パワーハウスの陳信輝、元フローラル→エイプリル・フールの柳田ヒロ、元ゴールデン・カップスのルイズルイス加部、元渡辺貞夫バンド→ジャックスの角田ヒロがリハ・作曲なしで2日間で録音。当時ドイツでも発売され好評も納得のヘヴィ・サイケ作品(全編インスト)。

信輝と加部は歌えるアメリカ人ドラマー、ジョーイ・スミスを迎えスピード・グルー&シンキを結成、第一作「イヴ 前夜」71.6は徹底して非商業的なヘヴィ・ロック。バンド名がタイトルの第二作はLP2枚組、さらにヘヴィなA~C面に、D面は全編元ワイルド・ワンズの渡辺茂樹(key)、元テンプターズ大口広司(ds)を迎えタンジェリン・ドリーム的な電子音楽をやっている。

PYGはタイガースから沢田研二岸部修三テンプターズから萩原健一大口広司、スパイダースから井上堯之大野克夫を集めて結成された。このスーパー・バンドの商業的惨敗は後々までメンバーに屈辱感を残した。