人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ジャックス『からっぽの世界』68

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『からっぽの世界』

ぼくおしになっちゃった
なんにも話すことできない
ぼく寒くなんかないよ
きみは空を飛んでるんだもの

ぼく死にたくなんかない
ちいっともぬれてないもの
静かだなぁ海の底
静かだなぁなにもない

ぼく涙かれちゃった
あたまの中がからっぽだよ
ぼく甘えてるのかな
なんだかうそをついてるみたいだ

ぼく死んじゃったのかな
誰が殺してくれたんだろうね
静かだなぁ海の底
静かだなぁなにもない
(1966.12作-エッセイ集「ラブ・ゼネレーション」巻末創作年表より)

 ジャックスといえばタクトからのデビュー・シングルになったこの曲になる。第二弾シングル『マリアンヌ』もすごい曲だが、作詞が同じ大学の演劇部の女性の提供なのと、曲の構成やアレンジがあまりに常軌を逸しているのでカヴァーが少ない。
 ジャックス自身の『からっぽの世界』は、放送用録音や発掘ライヴを除くと、
○タクト・1968.3
コロムビア・1968.9
☆「ジャックスの世界」1968.9(画像1)
○エキスプレス・1968.10
○エキスプレス・1971.1
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 と4度もシングル化されている(コロムビアはタクトと同ヴァージョン。エキスプレスからのシングルはアルバムからのカット。どちらも80年代には発売禁止)。

 この曲がいかにアングラ・フォーク界に衝撃を与えたかは、牽引車的グループ2組に『からっぽの世界』を収めたライヴ盤があることでもわかる。すなわち、
フォーク・クルセダーズ「当世今様民謡大温習会(はれんちりさいたる)」1968.11(画像2)
五つの赤い風船「イン・コンサート」1970.8(画像3)
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 で、はっぴいえんどのデビュー作と同時に出た風船のアルバム(4/1録音)には早川と木田が参加し『からっぽの世界』を乗っ取ってしまっている。はっぴいえんどは4月は遠藤賢司のデビュー作を終えて、早川プロデュースで半数が早川作品のカヴァーの岡林信康第二作の録音中だった。

 フォークルのカヴァーも68年7月だからずいぶん早い。まだアルバム前。フォークルは「さよならコンサート」でも『遠い海へ旅に出た私の恋人』を取り上げ、加藤和彦は早川が途中で離脱したジャックスの第二作や初期のURCレコードのセッションで早川とは縁が深い。