(21)ウェス・モンゴメリー(g)



複音を同時に弾くことで自然にリズムのタメと微妙なピッチのずれが音の厚みを増し、それが白人ギタリストにはない黒っぽさになっている。
もっとも故・高柳昌行氏(ギタリスト)のように、トリスターノ門下のビリー・バウアー~ジム・ホールという白人ギタリストの方法自体の改革に較べるとウェスの手法は個人的な名人芸にすぎないのではないか、という意見も一理ある。
ウェスのアルバムはどれも外れがないから、安定した出来のスタジオ盤よりライヴ盤の方が傑出する、という皮肉なことになった。「フル・ハウス」1962、「ソリチュード」1965(画像2)、「スモーキン・アット・ザ・ハーフ・ノート」1965が三大傑作だろう。特にラジオ番組用らしく録音も編集もジャケットも演奏も!雑な「ソリチュード」がいい。名曲『ラウンド・ミッドナイト』はウェスがオクターヴ奏法で完璧にテーマを弾き終えると客の拍手でテナー・サックスが入るタイミングを失い、「ベイビー(笑)」(おいおい、というニュアンスだろう)と客の笑いをとって吹き始める。いいなあこういうの。
晩年のウェスはポップ路線なのだが、ビートルズの「サージェント・ペパーズ」発売翌週にカヴァーした「ア・デイ・イン・ライフ」1967(画像3)は名作。原曲より良いという人も多い。ビートルズの原曲をしのぐカヴァーなど滅多にあるものではない。