人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

断食芸人、その他のエッセイ

○コメントと断片より

(1)喉は渇くから水は飲みたい、蛇口はなんとかひねることができる。なのにコップが持てないんですよ。自分でも信じられなかった。力の加減や平衡感覚をコントロールできなくて、コップを水を飲む角度に傾けられない。仕方ないから縁からすする。近所のスーパーでストローを買ってきて(もう自分で財布からお金を取り出せないのでレジに財布を放り出して「うっ、うっ」と言うのがやっと)ストローで飲もうとするけど水位がコップの水面までしか上がらない。-24時間点滴の2週間はほとんど意識不明でしたが、ようやく点滴が外れる頃に入院して初めて吸い飲みから水を飲みました。吸い飲みというものは知っていたけど、どういう人がどんな時使うのかはその時初めて知りました。ぼくはいわゆる「希死念慮」はまったくありませんが、病気によってこうなってしまうと自力ではどうにもならなくなります。来年3月で最後の退院から2周年、なんとか踏みとどまれると思っています。

(2)漱石はイギリスでスパイ妄想にかかっており、しかも本人も妄想から醒めませんでした。これはかなり強い錯乱状態で、慢性化の危険から現在ならば入院が必要な病状です。環境の変化で被害妄想が生じるのはよくあることですが、当時の日本とイギリスのギャップは国費留学生というノルマを背負った漱石には堪えたでしょう。永井荷風高村光太郎ら私費留学生には留学生活はストレスになりませんでした。
清水玲子作品はデビュー作から「輝夜姫」の半分まで読んでいましたが、当時の「LaLa」に他に看板作品がなかったからか、「輝夜姫」は引っ張り過ぎだと感じました。この人は萩尾望都ら「24年組」直系の作風の実力派ですが、キャラクターも設定・ストーリーも冷たいんですね。どの作品も出来はいいのですが、後味は良くない。それで徹底している人だから、これはこれでいいと思います。

(3)本文にも書いた通り、こういう小悪はいつの世にも存在します。膨大な集団で生きている人間には隠れて卑劣なことをしている人間が一定の割合でいる、ということです。完全にプライヴァシーまで管理される国家になれば小悪はなくなるでしょう。ただ20世紀に乱立した数々の独裁国家を思い出してください。小悪の根絶は強大な権力を生み、結局人間を幸せにはしない、と言えると思います。