人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(32c)ホレス・シルヴァー(p)

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さて、ここからがようやくシルヴァー自身のバンド、ホレス・シルヴァークインテット時代になる。第一作「シルヴァーズ・ブルー」はまだジャズ・メッセンジャーズ時代の契約が残っていたようで、エピックから発売された。
正式なクインテットのデビュー作といえるのははブルー・ノートに戻った「6ピーシズ・オブ・シルヴァー」1956(画像1)で、シルヴァーは最終的にはブルー・ノート在籍最長・最多アーティストになる。
このアルバムからは『クール・アイズ』『セニョール・ブルース』がシングル・ヒット。このあたりもシルヴァーならではの強みだろう。ちなみにメンバーは56年はドラマー以外メッセンジャーズ(!)、57年の「ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー」(画像2)ではモブレー(テナー)残留、トランペットはドナルド・バードからアート・ファーマーに交代して格の違いがありあり。58年にはテナーが新人クリフ・ジョーダンに代り「ファーザー・エクスプロージョン」(画像3)を録音。ここまでが第一期ホレス・シルヴァークインテットといってよい。59年2月録音の「フィンガー・ポッピン」でついに最強のメンバーが揃い、その布陣は5年間続いたからだ。

シルヴァーの強みはピアノ・トリオ時代の『オパス・デ・ファンク』、もっとさかのぼってスタン・ゲッツ・カルテット時代の『スプリット・キック』からいいオリジナルを書けることだろう。『ドゥードリン』『ザ・プリエーチャー』などはブルー・ノート社内では「ダサくないか?」と揉めたというが、黒人向け放送局からのリクエストが殺到し、モダン・ジャズでは例外的なシングル・カットがシルヴァー作品では常套となる。何から聴けばいいか、という問いに、シルヴァーならベスト・アルバム、と答えてもいい。ビル・エヴァンスセシル・テイラーがシルヴァーに着目したのもそのセンスだろう。

56-58年の足かけ3年は自分のバンド4枚ばかりでもなく、11枚のセッションに参加している。これが粒よりなのだ。ハンク・モブレー3枚、リー・モーガン2枚の外ロリンズ、ミルト・ジャクソンケニー・バレルポール・チェンバースら有名所に混じり、J.R.モンテローズ、クリフ・ジョーダン&ジョン・ギルモアら激渋所にも参加。以後自分のバンド以外での録音はなくなるから、この時期のシルヴァーは実においしい。