人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(38d)ホレス・パーラン(p)

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今回がホレス・パーラン(Horace Parlan,1931-,piano)の最終回になる。ブルー・ノートとの契約が63年に終了した後パーランはコペンハーゲンに移住し、クラブ出演は続けていたらしいが、カムバック・アルバムは74年の「アライヴァル」だった。センスと腕前に衰えはなく、むしろ「アライヴァル」や「ラメント・フォー・ブッカー」76、「ブルー・パーラン」78の評判でブルー・ノート時代のリーダー作が再評価された面もある。アルバム発表も年1作、サイドマン参加も同地在住のレッド・ミッチェル(ベース)と組んで活動、とむしろ70年代以降の活躍の方が目立つ。

筆者が渡欧前のパーランに限定したのは、カムバック後の作品を十分追えていないのと、ミンガス~ブルー・ノート時代にパーランの才能は完全に開花したと考えるからで、また、パーランをこれから聴かれる方も渡欧前の作品から入ったほうがわかりやすいと思われるからだ。カムバック後はそれからでいい。

リーダー作第五作「オン・ザ・スパー・オブ・ザ・モーメント」'On the Spur of the Moment'61.3(画像1)は第三作「スピーキン・マイ・ピース」と同じくトリオにトミー&スタンリー・タレンタイン兄弟を加えて制作された。パーランの自作2曲は当然だが、不参加のブッカー・アーヴィンのオリジナルが2曲入っている。アーヴィンとライヴ活動していたからだろう。

デクスター・ゴードンのアルバムを挟んで、第六作「アップ・アンド・ダウン」'Up And Down'61.6(画像2)はアーヴィン、ギターの新人グラント・グリーンを加えたこってりしたアルバムになる。パーラン3曲、アーヴィンとグリーン各1曲、バブス・ゴンザレスとトミー・タレンタインから各1曲と、曲の配分もいい。

第七作でBN最終作「ハッピー・フレイムス・オブ・マインド」'Happy Frame of Mind'63.2(76年発表)は前作から1年半以上経って制作され、お蔵入りした悲運のアルバム。ベースとドラムスは当時のセロニアス・モンク・カルテットから呼んでいる。アーヴィン、グリーンに加えてミンガス・バンドのジョニー・コールズ(トランペット)を招き、溜め息が出るほど渋いアルバムになった。そしてパーランは沈黙の10年に入る。