人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(40a)ジミー・ジュフリー(ts,cl)

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Jimmy Giuffre(1921-2008,tenor & baritone sax,clarinet)。
誰それ?という人がほとんどだろう。幸運にも「巨人25」に選ばれたレニー・トリスターノ(ピアノ)よりはニューポート・ジャズ祭の記録映画「真夏の夜のジャズ」1958のトップに代表曲'The Train and the River'で登場することで記憶されている。意外なことにこの曲はザ・キンクスThe Kinks'You Really Got Me'1964のインスピレーション源となった。後にヴァン・ヘイレンのデビュー作でも再ヒットするこの曲はロックで初めてソリッドなリフを中心にした点で決定的な影響力を持ち、ハード・ロックプログレッシヴ・ロックまでその影響は及んだ。ヘヴィー・メタルの元祖と言ってもいい。

ではジュフリー自身の音楽はというと、キンクスという媒介なしにロックとの近親性を感じる人はほとんどいないだろう。今回の3枚はビッグバンドから独立したジュフリーの初期作品で、作風は小編成コンボでビッグバンド的アンサンブルを実現できるか、という保守的な実験になる。

初リーダー作'Jimmy Giuffre'54.2,55.1(画像1)と第2作'Tangents in Jazz'55.6(画像2)はロサンゼルス録音(キャピタル)で、前者はウディ・ハーマン楽団時代からのオリジナルの代表曲'Four Brothers'を筆頭にオリジナル8曲スタンダード2曲の構成だが、選曲が'Someone To Watch Over Me'と'I Only Eyes For You'となればオリジナルが霞む。そこで後者は全曲オリジナル&ピアノレスで対位法ジャズの実験をやった。同時期にピアノレス・カルテットで大ヒットをとばしたジェリー・マリガン・カルテットへの回答でもあるだろう。すごい完成度だが疲れる。
ニュー・ヨークへ渡りアトランティックに移籍、11人のジャズマンの組合せライヴで'Historic Jazz Concert at Music Inn'56.8(画像3)は戦前からの大御所やMJQのメンバーまで招いてジュフリーが仕切った伝統回帰アルバム。エリントン曲の'In A Mellotone'がほのぼのする。