人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(43c)デイヴ・ブルーベック(p)

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Dave Brubeck(1920-2012,p)。
この頃まだ世評はブルーベックのピアノの表現力(主にスウィング感)への不評が尾を引いていた。そこでブルーベックは自作曲のソロ・ピアノ・アルバムで勝負する。それが'Brubeck Plays Brubeck'56.4(画像1)で、マイルスやビル・エヴァンスも取り上げてモダン・ジャズのオリジナル・スタンダードになった名曲'In Your Own Sweet Way'を筆頭にブルーベックはいい曲書くなあ、と感心する。ただし演奏は生硬で感心しない。カルテットでは生き生きしたプレイヤーに成長していたが、個人演奏ではまだまだだった。アルバム全体は端正で好感が持てるのだが、いかんせんスウィング感の欠如をまたしても証明することになってしまった。

次のカルテット作'Jazz Impressions of the U.S.A.'56.11,57.2(画像2)は再び自己のファンタジー・レーベルからのリリースで、大手コロンビアと自己のレーベルをうまく使い分けているのがわかる。契約もブルーベックに有利なものだったのだろう。当時一般的なジャズマンは不利な条件を飲まざるを得なかった。
このアルバムからは名曲'Summer Song'が生まれた(全曲オリジナル)。そして何より天才ドラマー、ジョー・モレロの加入が画期的だった。モレロなしに3年後の名盤「タイム・アウト!」はなかった。これ以上ないタイミングでメンバー・チェンジが行われたことになる。カルテットの人気はモレロの参加によってますます上昇した。

その前にブルーベックはソロ・ピアノでリヴェンジを試みる。'Brubeck Plays and Plays and Plays and Plays...'57.2(画像3)はオリジナル2曲とスタンダード7曲の自宅録音で、今度はリラックスした好アルバムになった。'You'd be So Nice to Come Home To'と'Imagination'が特に良いが「U.S.A.」でも本作でもなぜかボツになった(CDには追加)『眠そうな二人』'Two Sleepy People'が味わい深い。
この後カルテットはほんの数年でジャズ界のトップ・グループとなり、その地位を10年保つ。並ぶバンドはモダン・ジャズ・カルテットしかなかった。