人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(43g)デイヴ・ブルーベック(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Dave Brubeck(1920-2012,p)。
ここから後はジャズ界一のスター・バンドの名声をほしいままに人気の頂点を極めるまでのブルーベック・カルテットになる。何度も引き合いに出すモダン・ジャズ・カルテットは白人の雄たるブルーベック・カルテットに対する黒人の雄だったが、全盛期は微妙にずれていて、MJQのほうが全盛期は早く到来した分、低迷期も早かった。人気の安定性はブルーベック・カルテットに分があった。批評家やマニアの評価ではMJQはシリアスなジャズ・グループでブルーベックはポピュラー寄りのエンタテインメントだったが、ブルーベックの場合は大衆的支持・商業的成功と音楽的成功が一致した、ジャズでも稀な幸福なグループだったと思うのだ。

61年5月には「ウィズ・ジミー・ラッシング」以来バンドを休んでいたデスモントが復帰、再びリズム実験の力作'Time Further Out'61.5,6(画像1)を録音する。ブルーベック・カルテットのオリジナル曲はテーマで変拍子をやってもアドリブはブルースや循環コード(古くは「ブラックホーク」の'Trolly Song'もそうだった)になってしまう。デスモント復帰というだけでも十分好評だったが、やはり「タイム・アウト!」ほどではない。

ジャズ界流行のボサ・ノヴァにはカルテットもすぐ飛びついた。ただし有名ボサ・ノヴァ曲ではなくオリジナルで勝負(『トロリー・ソング』も再演)したのはさすがだ。この'Bossa Nova U.S.A.'62.1,7,10(画像2)セッションは同時に他2枚のアルバム録音と並行して行われたが、完成は65年の追加録音後になった。よって扱いは次回になる。

ブルーベック・カルテットが名実共に頂点を極めたのは2枚組ライヴ・アルバム'The Dave Brubeck Quartet At Carnegie Hall'63.2(画像3)だろう。全12曲、カルテットの代表曲が極めつけのライヴ用アレンジでずらりと並ぶ。MJQの「ヨーロピアン・コンサート」(60.4)に匹敵する2枚組総集編ライヴの名盤と言える。スタジオ盤ではアルトによるテーマのオブリガートしかなかった『テイク・ファイヴ』もアルトとピアノのソロが聴ける。入門にもなり究極のアルバムにもなるブルーベック・カルテットの記念碑だろう。