人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(43h)デイヴ・ブルーベック(p)

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Dave Brubeck(1920-2012,p)。
これらの魅惑的なジャケットはジャズがポピュラー音楽として最後の輝きを放った時代を象徴する。ブルーベックもデスモントも個別の音楽活動は晩年まで継続し、デスモント逝去の前年76年には「カルテット25周年記念コンサート」のライヴ盤もデスモント(アルト)、ライト(ベース)、モレロ(ドラムス)の黄金メンバーで録音されたが、純粋なカルテットの歴史は'Bravo! Brubeck'67.5,'Last Time I Saw Paris'67.11で歴史を閉じたのだった。

前回紹介の「ボサ・ノヴァU.S.A.」の制作は62年1・7・10月だが、並行して'My Favorite Things'62.6,7,10/65.10(画像1),'Angel Eyes'62.7/65.2(画像2)の録音も行われていた。おそらく後の2枚も全曲の録音は完了していたが、アルバムのリリース・ペースの調整で延期されているうちに「ボサ・ノヴァU.S.A.」と緊急企画「カーネギー・ホール」の大ヒットでタイミングを65年まで逸してしまった。3年前の録音なので一部の曲を再録音し、「エンジェル・アイズ」「マイ・フェヴァリット・シングス」の順で半年間隔でリリースした、と推定される。

「エンジェル・アイズ」は渋い作曲家・ピアニスト・歌手のマット・デニス作品集。ビートルズフリー・ジャズの時代にこれは渋い。マット・デニスだから全曲いいが、タイトル曲以外では名曲『コートにすみれを』'Violet For Furs'がやっぱり良い。
「マイ・フェヴァリット・シングス」はミュージカル、ポップ曲集。タイトル曲は何といってもコルトレーンだが、コルトレーンとは禿鷹と雲雀ほどに違うデスモントの軽やかな吹奏には惚れ惚れする。

'Anything Goes!'65.12/66.1,2(画像3)はコール・ポーター曲集。20世紀アメリカで粋を尽くしたお方の名曲集だから悪かろう訳はない。'Night And Day','Love For Sale'等永遠のスタンダードが並ぶ。
この後'Jackpot'66.6を挟み、前述の2作を残してカルテットは67年に解散した。まだ絶頂期のうちの、見事な幕引きだった。