人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(44d)モダン・ジャズ・カルテット

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The Modern Jazz Quartet:John Lewis(1920-2001,ldr,p),Milt Jackson(1923-1999,vibraphone),Percy Heath(1923-2005,bass),Connie Kay(1927-1994,drums)。まずこのジャケットをご覧いただきたい。後にロックやフォークのアーティストがハッタリかます時に行う手口(ボブ・ディラン「ブロンド・オン・ブロンド」など)をその10年前にやっていた。ジャズでは当然前代未聞のアルバム名もアーティスト名もないジャケット、それがアルバム'The Modern Jazz Quartet'57.4(画像1)だった。これはMJQが揃いのスーツ着用、コンサート・ホール以外のライヴはしない、観客にもドレス・コードを課す、など(もちろん飲食禁止)思い切ったアーティスト宣言をしたのと軌を一にする。ブルーベック、マイルスもそれに倣ったが、さすがにMJQほど徹底しなかった。
当然ジャズ界最高のギャラを要求したと思う。晩年のマイルスはワンステージ1億円のギャラで有名だったが、自伝で「黒人ジャズマンとして妥協はできない」と発言している。マイルスの自伝にはブルーベックとMJQは登場しないのも意図的だろう。MJQも黒人バンドの意地がかかっていたと思われる。
アルバム内容はバラード・メドレーを始め得意曲をザッと並べたもので、バンドの円熟をアピールする名刺がわりの一枚、というところか。もちろん悪かろうはずはない。

次の'No Sun In Venice'57.8(画像2)は邦題「たそがれのベニス」だが、フランス映画「大運河」への提供曲をアルバム化したもの。主題曲'The Golden Striker'、3つのテーマを組み合わせた'One Never Knows'が代表曲。これも名盤。

問題作'Third Stream Music'(画像3)はジミー・ジュフリー3との共演(57.8)、弦楽四重奏との共演(59.9)、ガンサー・シュラー指揮で4管・チェロ・ハープとの共演(60.1)という4年越しの企画。この「第三の音楽」という提唱は当時物議を醸したが、クラシックとジャズの融合ではなく激突として聴けば面白い。ジュフリー3との共演は少しだけ風変りなジャズ。ジム・ホールのギターが良い。