人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(44g)モダン・ジャズ・カルテット

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The Modern Jazz Quartet:John Lewis(1920-2001,ldr,p),Milt Jackson(1923-1999,vibraphone),Percy Heath(1923-2005,bass),Connie Kay(1927-1994,drums)。集大成ライヴ・アルバム「ヨーロピアン・コンサート」60.4と「MJQ&オーケストラ」60.6の二つの大作の後、MJQは方向性を見失ってしまう。ブルーベック・カルテットの集大成ライヴ・アルバム「カーネギー・ホール」が63年2月録音と思うとMJQは先に失速してしまった印象が強いが、それだけそれまでの創造性が高かったということでもある。
今回と次回は前回同様過渡期の続きになる。歴史の長いバンドには仕方のないことで、過渡期といえども無視できない。

'The Sheriff'63.5/64.1(画像1)は前作「淋しい女」の延長で今回はスタンダードとオリジナル半々だが、楽曲も演奏も従来より明らかにラフになっている。前作は結果だったが今回はそれが狙いである分姿勢が明確になった。ただ30分しかない短さは問題。

'A Quartet is A Quartet is A Quartet'63.5(画像2)は女性詩人ガートルード・スタインの有名な一行詩'A rose is a rose is a rose.'のもじりで、LPのA面4曲はいつものMJQだが、B面はカルテット・ディ・ミラノ演奏の現代音楽の古典アントン・ウェーベルン弦楽四重奏曲』とハンガリアン・ジプシー・カルテットのジプシー音楽メドレーが収められている。いったい誰がそんなもの聴くんだと言われそうだがビートルズ出現以前のレコード売り上げはクラシック、ジャズ、映画サントラ、ムード音楽、民俗音楽が同等に分けっていたのだ。このアルバムも焼ソバ稲荷カツ丼弁当(…実在する)と思えば楽しめる。

次の'Porgy and Bess'64.7/65.4(画像3)はガーシュウィン畢生の同名オペラを取り上げたもので、ルイ・アームストロングやマイルスにも「ポーギーとベス」全曲アルバムの名作があった。素材が素材なので久しぶりに落ちついたMJQが聴ける。'Summertime'が白眉だろう。