人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(44i)モダン・ジャズ・カルテット

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The Modern Jazz Quartet:John Lewis(1920-2001,ldr,p),Milt Jackson(1923-1999,vibraphone),Percy Heath(1923-2005,bass),Connie Kay(1927-1994,drums)。MJQは活動23年満了の74年をもって解散するが、81年には再結成し落ちついたペースで活動を再開。コニー・ケイの没後はアルバート・ヒース(パーシー・ヒース実弟)が継いだが、99年のミルト・ジャクソンの逝去をもって解散した。こんな終身雇用制バンドは大型営業で会社化されたビッグ・バンドならともかくスモール・コンボでは滅多にない。

さて、前作の後再びオーケストラ競演作'In Memorium'73.11を制作したMJQはカーネギー・ホールのコンサートで初演した'Blues On Bach'73.12(画像1)をそのままスタジオ録音する。12月28日の一日だけで録音完了、とバップ時代からのジャズマンは集中力がちがう。全9曲は奇数曲がルイスがハープシコードを弾くバッハ曲の改作(主に平均律クラヴィーアより)で、最終曲'Tears From The Children'が曲名通り美しい。偶数曲がB,A,C,HをキーにしたブルースでBフラットとHが長調、AとCが短調。'Blues in A Minor''C Minor'はMJQでも屈指の名曲・名演になった。

これでやりたいことはやりつくしたか、MJQは解散ツアーに出る。'The Last Concert'74.11(画像2)は遂に本当の集大成で、デビューから「ブルース・オン・バッハ」までMJQの全歴史からの選曲。「ヨーロピアン・コンサート」のクールな熱気がここでは爆発している。あちらがパーフェクトならこちらはやけくそなパワーで押しきっているのが感慨無量だか、MJQはやった。

'Reunion At Budokan'81.10で再結成後の秀作はカウント・ベイシー(1904-1984)追悼盤'This One's For Basie'85.6だろう。選曲もスタンダード'Topsy','Nature Boy'、旧作'Reunion Blues','Milano'、新曲と変化に富む。全盛期と変らず、しかも新鮮なMJQがここにいる。