(45b)スタン・ケントン(p,ldr)



「リズムの芸術」'Artistry In Rhythm'はケントン楽団のテーマ曲であり、40年代後半には本人も批評家もバンドの音楽性を「プログレッシヴ・ジャズ」と呼ぶようになる。後年ロックで「プログレッシヴ・ロック」という呼称が使われたのはケントンという先例があったからだった。
49年前後に楽団はケントンの過労で一旦解散、49年後半からは'Innovation in Modern Music'を標榜して弦楽セクションを含む45人編成(通常のビッグ・バンドは20人未満)でジャズ界の度肝を抜く。前回掲載の「スタン・ケントン・プレゼンツ」50はメンバーの名前をタイトルにしフィーチャーした曲('Art Pepper','Maynard Ferguson','June Christy','Shelly Mann')と'The Halls Of Brass','The House of Strings'などの現代音楽曲(!)で、作・編曲はショーティー・ロジャース、ビル・ラッソら。
「ガラスの都会」51は続編'This Modern World'53と共に新進気鋭の現代音楽作曲家ボブ・グレティンガーの書き下ろしで、各々4楽章・6楽章の交響組曲。さすがにここまで急進的だとちょっとやばい。
続く'New Concept Of Artistry In Rhythm'52(画像1),'Portraits Of Standard'51/54(画像2),'Contemporary Concepts'55(画像3)の3作は音楽的にもメンバーももっとも充実した時期になり、ピート・ルゴロの編曲は斬新さと保守性がほど良く調和したものだった。再びバンドを通常の18人編成に戻し、女性歌手ジューン・クリスティをフィーチャーしたシングル曲をヒットさせ、突出した企画力で話題をさらった。前記メンバーに加えコンテ・カンドリ、リー・コニッツ、ズート・シムズ、スタン・リーヴィらが去来した。「ニュー・コンセプト」~「スタンダーズ」~「コンテンポラリー・コンセプト」と、今日ではコンセプトもスタンダードも珍しくない概念だが、ポピュラー音楽の世界にこんな理屈っぽい用語を持ち込んだのはスタン・ケントンが嚆矢だった。