人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(46d)グラント・グリーン(el-g)

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Grant Green(1935-1979,electric guitar)。
怒涛の61年録音も後半の7月~12月はアルバム7枚、うち7月の2枚はブラザー・ジャック・マクダフ(オルガン)のプレスティッジ録音で1日にアルバム2枚を一気録り。ブルーノートでの5枚はサイドマン2作にリーダー作3枚だが当時発売されたのは第4リーダー作'Grantstand'61.8.1(画像1)とIke Qubec'Blue And Sentimental'61.12.16(画像3)だけで、第5リーダー作'Remembering'61.82.9(現行版CDでは'Standards'に改題。画像2)、S・タレンタイン'Z.T.Blues'61.9,第6リーダー作'Gooden's Corner'61.12.23の3枚は70~80年代までお蔵入りとなった。
これはグリーンだけではなくブルーノートの方針で、発売しきれないほどアルバム制作して出来のいいもの(売れ筋のもの)を選ぶ。もちろんボツでもギャラは払う、という贅沢なことをしていた。プレスティッジなどは極悪非道でリハーサルなし、3時間のセッション2回でアルバム3~4枚を録音させる、しかもギャラの不払いは当り前で(前払いの契約金と相殺という名目)、音楽ビジネスでは珍しいことではなかった。

「グラントスタンド」は初の管入りリーダー作で、デトロイトの超人ユーゼフ・ラティーフのテナーが強力。凄まじいトルク感というか、音圧だけでも圧倒される。オルガンはブラザー・ジャックで、一体感ではベイビー・フェイスの方が馴染んでいたが、演奏のスケールはやはりブラザーがでかい。名作だが大物ゲスト二人に乗っ取られた感もある。

「リメンバリング」はCDの改題通り全曲スタンダードで、ベース、ドラムスだけのトリオなのも嬉しい。ドラムスのアル・ヘアウッドは巧い。グリーンも絶好調で'I Rememer You'をベスト・ワークにあげる人も多い。お蔵入りの理由は変態ベーシスト、ウィルバー・ウェアの演奏だろうか。

アイク・ケベック(1918-1963)のアルバムはこの不遇テナー一世一代の傑作。コードを弾かないグリーンにポール・チェンバースのベース、フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスという豪華な布陣。全曲をスローで勝負した大胆さもすごい。