人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(46i)グラント・グリーン(el-g)

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Grant Green(1935-1979,electric guitar)。
前作「抱きしめたい」65.3の後グリーンは没アルバム'Matador'65.5.20(画像1)を録音し、61年1月以来専属だったブルーノートを離れる。5月26日には早くも大手ヴァーヴにラリー・ヤングも加えたソウル・ジャズ路線の'His Majesty King Funk'を録音するが、ヴァーヴには7月にサイドマン参加をしただけで終る。65年11月にはビッグ・ジョン・パットン(オルガン)のサイドマンとしてブルーノートに戻るが、
Stanley Turrentine'Rough 'N' Tumble'66.7(画像2)
-までの1年半に他レーベルを含めてサイドマン参加作5作を残して消息が絶える。マイナー・レーベルに残された'Iron City'はパットン・トリオで67年に録音されたものらしい。68年にはソウル・ジャズの'Rusty Bryant Returns'への参加のみ。69年は復調し、プレスティッジに4枚、ブルーノートに1枚のオルガン・ジャズのサイドマンを経て本格的なリーダー作としては4年半ぶりの'Carryin' On'69.10(画像3)をブルーノートに録音。この時期グリーンは不摂生がたたって健康を害し、音楽活動もできなくなっていた。35年生れだから30代の前半をまるまる棒にふったことになる。

結局「マタドール」はグリーン最後の主流ジャズ作品になった。ベーシストは異なるがピアノのマッコイ、ドラムスのエルヴィンはジョン・コルトレーン・カルテットのメンバーであり、'My Favorite Things'をまったくコルトレーンと同じアレンジでやっている。全体的に生彩に欠ける。

タレンタインは元々ソウル・テナーだからジャズ斜陽もポップ路線で乗り切って、さらに出世して行く。このアルバムでもサム・クックの『シェイク』、バカラックの『ウォーク・オン・バイ』を楽しくやっていて、グリーン参加の必然性はもはやなかった。

復帰作「キャリン・オン」は70年代フュージョンの先駆的ジャズ・ロックで、ファンキーな'I Don't Want Nobody',メロウな'Cease The Bombing'などの佳曲を含む。完全にコマーシャル路線だが、黒人音楽としては原点回帰とも見える。