人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(48k)レッド・ガーランド(p)

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Red Garland(1923-1984,piano)。
57年3月リリースの「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」に続くマイルスのコロンビア第2作はギル・エヴァンズ指揮のビッグバンド作品'Miles Ahead'(57年10月発売)でピアノレスの吹奏楽アンサンブルだった。コロンビア第3作はキャノンボール・アダレイ(アルトサックス)を増員したセクステットになる。
Miles Davis'Milestones'558.2.4,3.4(画像1)
-がそれで、タイトル曲でマイルスは初めてモード手法を使った。ワン・コーラスはGm7(16小節)+Am7(16小節)+Gm7(8小節)から成るが、Gm7に対してはFのスケール(音階)=ドリアン・モード(旋法)でアドリブを取り、Am7にはCのスケール=エオリアン・モードでアドリブを取る。これはビ・バップの開発したコード進行の細分化とそれに即応したスケールの切り替えとはまったく異なる発想で、1度→4度→5度→1度という基本的なコード進行が存在しない。
タイトル曲はマイルスとコルトレーンは余裕綽々、キャノンボールも好演だが、ガーランドのソロはない。アルバム自体は一体感がある名作になっている。だがガーランドの参加はこれが最後になり(後任はビル・エヴァンス)ピアノ・トリオだけの'Billy Boy'がはなむけのように収録されている。

コルトレーンの次作、
John Coltrane'Settin' The Pace'58.3.26(画像2)
-は同メンバーの「ソウルトレーン」に並ぶ充実したアルバム。バラード'I See Your Face Before'から順にテンポを上げて急速テンポの'Rise And Shine'で締める全4曲の構成もいい。バラードではうまいガーランドだが急速テンポでは弾けなくなってしまうのも際どい。

そしてついに、というべきか、
John Coltrane'Black Pearls'58.5.23(画像3)
-は再びドナルド・バードを迎えたクインテットだがA面2曲・B面1曲のうちA面のタイトル曲では明らかにコルトレーンは不調で、スタンダード'Lover Come Back To Me'やB面全編を占めるブルースでもひとりでムードをぶち壊す。だが年内はガーランドとの共演は続くのだった。