人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補1c)バド・パウエル(p)

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Bud Powell(1924-1966,piano)。
前回掲載の「スティット・パウエル&J.J.」のバド参加は、ソニー・スティット(テナーサックス)との10曲のみだが、これがすごい気迫。スティットも健闘するが、サックスのソロにバドが無理矢理割り込んでソロを始めるは、サックスが戻れないほど弾き倒すはでこの時代のジャズのならではの奔放さ。'Fine And Dandy'2テイクがそれ。絶好調のバドはおそろしい。

ところがパーカーのバンドに久々に客演したラジオ中継ライヴ「ワン・ナイト・イン・バードランド」では借りてきた猫で、バドのバンド在籍は同僚だったマイルス・デイヴィス(トランペット)、マックス・ローチ(ドラムス)が惜しむほど短期間で、パーカーもバドだけは慰留しなかったという。天才二人は不要というか、パーカーが望むリズム・セクションにバドの演奏は過剰だったのか、この客演ではバドはらしからぬほどおとなしい。

退院後のバドは大手ヴァーヴに専属が決り、
The Ginius Of Bud Powell(画像1)50.7/51.2
-のうち50年録音はトリオで2曲。テーマなしでぶっ飛ばす'Tea For Two'が痛快。51年の8曲はソロ・ピアノでオリジナル5曲はもちろんスタンダードも全部いいが、可愛い『バークリー・スクエアのナイチンゲール』'A Nightingale In Berkely Square'が白眉。モダン・ジャズのソロ・ピアノの名盤だろう。

ところがこの後、50年7月のサラ・ヴォーンの歌伴でビッグバンドの録音から再入院する51年夏まで公式録音がない。唯一77年になって、ラジオ中継ライヴの、
Summit Meeting At Birdland:Charlie Parker(画像2)51.3.21
-が発掘されたきりで、4曲22分だけ(他はバド不参加)だがこれは必聴。トランペットがディジー・ガレスピー、ドラムスがローチの後任ロイ・ヘインズというスーパー・セッションで、極めつけのビ・バップ定番曲が並ぶ。ディジーという仕切りが巧い人のおかげかバドも「ワン・ナイト~」とは比較にならない熱演。

パーカー、ディジーとはバド退院直後の、
Jazz At Massey Hall(画像3)53.5.15
-でも再会する。解説は次回で。