人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補4c)ビル・エヴァンス(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Bill Evans(1929-1980,piano)。
リーダー作第3弾にしてついに、エヴァンスは理想的なメンバーとともに画期的なアルバムを制作する。
Portrait In Jazz(画像1)59.12.28
-がそれで、ジャケットの知的な風貌、2曲のオリジナルと7曲のスタンダードの決定的な選曲からこれをエヴァンスのデビュー作と思う人も多いだろう。CDではテイクの異なる『枯葉』'Autumn Leaves'(モノラルとステレオ)がどちらも収録されている。マイルスに曲を盗まれた因縁から、共作名義で'Blue In Green'をやっている。

トリオのメンバーは新人のスコット・ラファロ(ベース)、ポール・モチアン(ドラムス)だった。モチアンはトリスターノ門下生で、ラファロはオーネット・コールマン・カルテットの親友チャーリー・ヘイデン(ベース)とともにニューヨークに来て間もなかった。
それまでのピアノ・トリオはあくまでもピアノが主体で、ベースとドラムスはその伴奏だった。バド、トリスターノ、モンクですらそうだった。エヴァンスはベースとドラムスにピアノと同等の役割を求めた。その最初の成果がこの作品だった。

エヴァンスとラファロは一躍通受けの存在となり、MJQのリーダーの実験的な企画アルバム、
John Lewis:Jazz Abstractions(画像2)60.12.20
-に揃って参加する。ここでエリック・ドルフィーオーネット・コールマンという恐ろしい面々とMJQの'Django'やモンクの'Criss Cross'を共演するが、ラファロは大暴れでエヴァンスはおとなしいあたり両者の性格がよく出ている。ホーン奏者との共演では、エヴァンスはホーンに華を持たせるタイプのピアニストだった。

だが実質的に共同リーダー作の、
Cannonball Adderley:Know What I Mean(画像3)61.1.27,2.21&3.13
-ではMJQのパーシー・ヒースとコニー・ケイをベースとドラムスに迎えて、エヴァンスが仕切る。タイトル曲もエヴァンスの書き下ろしで、スタンダードが主体だがカルテットで'Waltz For Debby'をやっており、キャノンボールも美しい音色で繊細で見事な名演を聴かせる。隠れた名盤として愛聴する人も多い。