人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補7d)エルモ・ホープ(p)

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Elmo Hope(1923-1967,piano)。
ロサンゼルス時代の最後の録音はオムニバス盤~カーティス・カウンス・グループと行動をともにしてきた元ブラウン=ローチ・クインテットの実力派テナーの代表作、
Harold Land:The Fox(画像1)59.8
-で、超マイナー・レーベルから発売されたため中規模インディーズから再発されるまで存在すら知られなかった名作。全6曲中ランド2曲、ホープ4曲のオリジナルで、後年ランドはホープについて「ピアニストとしてよりも作曲家として評価したいね」と身も蓋もないことを言っている。トランペットのデュプリー・ボルトンのプレイが素晴らしいが、ホープと似たような理由でジャズ界を追放された。身も蓋もない。

追放期限が切れて、ホープは生まれ育った古巣ニューヨークにようやく戻る。帰郷第一声は誰も知らない超マイナー・レーベルのビーコンに'High Hope',セレブレティに'Here's Hope'でこの両者は同時録音、レーベル主宰者も同じで自主制作規模だったらしい。現在CDでは2枚併せて、
Plays His Own Compositions(画像2)61
-になっている。全12曲が再演オリジナルで、ベースはポール・チェンバースフィリー・ジョー・ジョーンズがドラムスというヤバい面子。ろくにギャラもなさそうなこんな録音に友情参加とは絶対に怪しい。内容はというと、ロサンゼルス盤トリオが上品な傑作ならこちらはパンツを脱いでいる。ジャズとしてどちらが上かは言うまでもない。ロサンゼルス盤は新曲で決めたが今回は再演でホープベスト・アルバムをやった。10年かけて練り込んだ鋭さで決定版というべき演奏になっている。ホープ究極の一作(二作か)だろう。

結局ホープは仁義に篤いリヴァーサイド社に拾われ、正式なカムバックになったのは、
Homecoming!(画像3)61.6.22&29
-だった。全7曲中'Imagination'以外オリジナル6曲で、セクステット3曲とトリオが4曲交互に並ぶ。この構成はリヴァーサイドらしく良心的でモンクでは成功したがホープでは失敗している。管楽器入りとトリオでまったくムードが一変してしまうのだ。この辺が両者の力量の遥かな差を感じないではいられない。