人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補9d)ハービー・ハンコック(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Herbie Hancock(1941-,piano)。
前回掲載した「インヴェンションズ&ディメンションズ」も全5曲がオリジナルだが、管楽器なしの編成で平均7分半を越える長さ通り、パーカッションに比重を置き、セシル・テイラー的なフリー・ジャズとは異なる発想から自由度の高いインプロヴィゼーションを行って成功している。これは、ハンコックの属する主流派のジャズではいち早い試みで、ハンコックはマイルス・クインテットにもその手法を持ち込むことになる。それは当時コルトレーン・カルテットに人気でも評価でも追い上げられていたマイルスの望むところでもあった。

Miles Davis:My Funny Valentine(画像1)64.2.12
-:'Four' & More(画像2)64.2.12
-はその画期的な新クインテットのライヴで、バラードとスタンダード中心の前者、オリジナルのアップ・テンポ曲中心の後者に分けられている。当時18歳の天才ドラマー、トニー・ウィリアムズの凄みは高速テンポで疾走する後者によく表れているが、ビル・エヴァンスマッコイ・タイナーセシル・テイラーを折衷したようなハンコックの力量は楽曲を思い切り抽象化した前者のほうがより味わえる。マイルスもバンドも原曲を極端に解体して演奏しており、この手法は半年後のショーター加入によって極限まで追求されることになる。

マイルス・クインテット加入後2作目のリーダー作、
Empyrean Isles(画像3)64.6.17
-はフレディ・ハバードをトランペットに迎えたワンホーン・カルテットで、ドラムスにトニー、ベースはロン・カーターというマイルス・クインテット仲間。サックスはともかく、トランペットのワンホーン・カルテットというのはジャズでは実は珍しい。そういう特性の楽器としかいいようがない。
今回は全4曲のオリジナルで最短5分半の'Cantaloupe Island',最長14分の'The Egg'で『カンタロープ・アイランド』はエイト・ビートの変型ブルース。リフがかっこいい。スリリングな'One Finger Snap'も代表曲。ハンコックの仕切りがうまく曲の長さを感じさせない。これも名盤。しかもまだ23歳なのだ。