人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補10g)アンドリュー・ヒル(p)

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Andrew Hill(1931-2007,piano)。
ヒルブルーノート時代の斬新な作品群によって、50年後の今も珍重されているが、ポピュラりティはまるでなく昔も今も少数の聴き手しか持たないアーティスト、という評価に落ちついた。ニコルスやホープと較べれば早くから正当な評価を獲得した、といえる。ニコルスらは評価すらされなかったのだから。
69年5月録音の「リフト・エヴリー・ヴォイス」を最後の発表作に、さらに11枚分の未発表作を残してヒルブルーノートを去る。活動再開は73年になった。
単独アルバムとして発表された発掘作品6枚分はこれまでにご紹介してきたが、発掘専門レーベル・モザイク社からの、
Mosaic Box16(画像)2006/3CD,67.2-70.1
-はヒルブルーノートへの未発表アルバム5枚をさらに発掘し、CD3枚組セットにまとめたもの。ヒルの現役発表作は8枚だから、これで発掘作品の枚数の方が上回ったことになる。

アルバム各々にはタイトルがついていないが、内容と録音年月日を見よう。
・67.02.10●2管クインテット(ロビン・ケニヤッタ&サム・リヴァース)+アフリカン・ドラムス
・67.05.19●ピアノ・トリオ(ドラムス=テディ・ロビンソン、ベース=ロン・カーター)
・67.10.31●4管セプテット(リヴァース、ウディ・ショウ、チューバ入り、ロビンソン=ドラムス)
・69.06.13&08.01●テナー入りカルテット+弦楽四重奏(カルロス・ガーネット=6月,ベニー・モーピン=8月)
・70.01.16&01.23●3管セクステット(チャールズ・トリヴァー、パット・パトリック、モーピン)ドラムス=ポール・モチアン(16日),ベン・ライリー(23日)/ベース=ロン・カーター

ほとんどメンバーと編成の紹介だけになったが(3枚組CDではなぜか録音年月日が逆年順になっている)、68年の「グラス・ルーツ」でソウル・ジャズまでやったヒルが、未発表作では「スモーク・スタック」や「コンパルジョン」、発掘作だが「チェンジ」の陰鬱路線を邁進していたことが明らかになった。

しかし7年間に19枚のアルバムを制作して11枚はボツ、その後35年かけて小出しにされるとは不思議な話だ。まあそれもヒルらしくはある。