人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補11a)ラリー・ヤング(org)

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Larry Young(1940-1978,organ)。
ジミー・スミスの君臨するジャズ・オルガンの分野で唯一人、スミスの影響圏から脱出して、新しいオルガン・ジャズを作り出したのがヤングだった。もっともスミス全盛のジャズ界はオルガンに第二・第三のスミスを要求したので、ヤング20歳の第1作、
Testifying(画像1)60.8.2
-はオルガン、ギター、ドラムスの編成(ギターはスミス・トリオ出身のソーネル・シュワルツ、ドラムスはスペル違いのジミー・スミス、2曲でテナーサックス加わる)もスタンダードをソウル・ジャズ風に仕上げる手法もスミスを踏襲している。オリジナル曲はブルース、というのもスミスと同じ。

ヤングはソウル・ジャズのテナーサックス奏者のサイドマンからプロ・デビューしており、
Jimmy Forrest:Forrest Fire(画像2)60.8.9
-が当時の仕事ぶりを伝える。フォレストのバンド出身者にはグラント・グリーン(ギター)もおり、このアルバムのメンバーは「テスティファィング」のトリオと同じ。選曲編曲にヤングの意向が採り入れられているのはジャッキー・マクリーンの'Jackie McLean & Co.'からのオリジナル曲がヤングの次作でも採り上げられていることでもわかる。フォレストのような、ソウル・ジャズのテナーは日本では人気がないが、さすがに大衆派だけあって堂々とした吹奏で聴かせる。ヤングの出発点としてはこれはこれで立派なものだ。

第2作の、
Young Blues(画像3)60.9.30
-では、トリオにウェンデル・マーシャルのベースが加わる。オルガン・ジャズは通常オルガン奏者がベース・ペダルでベース・パートも兼任し、ベースレスの代わりにギターを入れてリズムを補強する-というのがジミー・スミスの確立したフォーマットだった。
20歳のヤングは十分に習熟したオルガン奏者だったがあえてベーシストを加えて試したかったのだろう。前作から2か月にすぎないが専任ベーシストの存在からバンド全体のゆとりと一体感が増している。前述の「マクリーン&Co」からの曲は'Flickers'('Minor Dream'と誤記されている)。ホレス・シルヴァーの'Nica's Dream'のオルガン版も楽しめる。