人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補12c)B・ハッチャーソン(vib)

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Bobby Hutcherson(1941-,vibes & marimba)。
ハッチャーソンには初リーダー作までさらに6枚の参加作があり、いずれも64年度録音作で、ブルーノート社がいかにこの新人を買っていたかわかる。6枚すべてが意欲的な作風で名作・傑作・秀作・佳作のいずれかに該当する。ハッチャーソンはミュージシャンたちにも求められていたサウンドを持っていた。

Andrew Hill:Judgement!(画像1)64.1.8
-がこの年の参加作品の皮切りで、ヒルは一作ごとに編成を変える人だが、この全5曲オリジナルの第3作ではピアノ・トリオ+ヴァイブというMJQ編成ながらまったく違う音楽性になった。ベースはリチャード・デイヴィス、ドラムスはエルヴィン・ジョーンズだからヒルやハッチャーソンは格下なのだが、一体感のある素晴らしいカルテットになっている。

Eric Dolphy:Out To Lunch(画像2)64.2.25
-は発掘ライヴを除けば同年6月急逝するドルフィー最後のアルバムで、60年代ジャズの頂点であり、参加メンバー全員の音楽性を一変させる衝撃的作品になった。ハッチャーソン、デイヴィスに加えフレディ・ハバード(トランペット)、トニー・ウィリアムズ(ドラムス)が参加したピアノレス・クインテットで、全員すごいがハッチャーソンとトニーの空間演出力がすごい。ふわふわ浮遊するヴァイブを自在なリズム・パターンで対応するドラムス。ドルフィーでは前作「カンヴァセーション」「アイアン・マン」からの自然な発展だが、ここまでサイドマンの個性に依存した作品はドルフィーにはなかった。ハッチャーソン抜きには成立しなかったアルバムだろう。

Andrew Hill:Andrew!!!(画像3)64.6.25
-は7か月でリーダー作5枚の特別待遇を受けたヒル五部作の最終作。ちなみに前作はドルフィーが参加した名盤「離心点」だった。ドラムスは俊英ジョー・チェンバース、ベースはヒル作品の常連デイヴィスに、テナーはサン・ラ・アーケストラのジョン・ギルモアを加えたクインテット
これがヒルには珍しく聴きやすい、ハード・バップ的な作品になった。ただしギルモアの演奏はヒルの指示かジョー・ヘンダーソンに意図的に似せている。