人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補12f)B・ハッチャーソン(vib)

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Bobby Hutcherson(1941-,vibes & marimba)。
初リーダー作「ダイアローグ」は、実質的にはアンドリュー・ヒルのリーダー作と言ってよかった。しかしこの作品、ヒル自身のアルバムよりも前衛性とキャッチーさのバランスが良く、なにより曲そのものがいい。これだけ出来のいい曲を提供しているのは発売時に名義変更があった可能性もある。ジャズでは珍しくないことだ。

次のリーダー作、
Components(画像1)65.6.14
-は確かにハッチャーソンのアルバムだが、A面4曲をハッチャーソン、B面4曲をジョー・チェンバースが書いている。フロントはフレディ・ハバードとジェームス・スポルディング、ピアノはハンコックでベースはロン・カーターというすごいメンバーで、10年後ならギャラだけで高級マンションが買えるが当時は賃貸マンション程度のギャラで済んだだろう。チェンバースの曲のほうがスリリングだが、かっこいいタイトル曲と可愛い'Little B's Poem'(渡辺貞夫もレパートリーにした)はハッチャーソン屈指の名曲。このアルバムもとてもいい。

この年の夏、ハッチャーソンはテナーサックスのアーチー・シェップのバンドに在籍し、
New Thing At Newport(画像2)65.7.2
Archie Shepp:On This Night(画像3)65.3.9&8.12
-に参加している。前者はジャズ・フェスでのライヴでコルトレーン・カルテットとのカップリング盤。ピアノレスのテナー、ヴァイブ、ベース(バール・フィリップス)、ドラムス(チェンバース)という強力カルテットだが、シェップの演奏がアクが強くてバックがかすむ。同じ趣向の「ザ・ニュー・ウェイヴ・イン・ジャズ」では、ハッチャーソンは陰の主役といえる活躍ぶりだったがライヴのシェップは前に出すぎるきらいがある。

スタジオ録音の後者でハッチャーソン参加はアルバム半数の8月録音分だが、こちらは女性ヴォーカル入りあり、フリーあり、エリントンの'In A Sentimental Mood'ありの多彩な選曲で、ハッチャーソンの存在感もある。本来コテコテのシェップとクールなハッチャーソンの相性には疑問があるが、この一作きりなら異色作として楽しめる。