人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補12g)B・ハッチャーソン(vib)

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Bobby Hutcherson(1941-,vibes & marimba)。
63年のブルーノート社との契約以来、ハッチャーソンにもようやくリーダー作の機会がまわってくるようになったのが65年だった。そのかわり66年には3枚しか仕事がない。

Joe Henderson:Mode For Joe(画像1)66.1.27
-は、このテナー奏者の第4リーダー作で、この人は63年~69年に30枚のアルバムに起用されながらリーダー作は4枚しかない。それまでの3作は実質的にヴェテラン・トランペット奏者のケニー・ドーハムとの共同リーダー作だった。ドーハムは64年でブルーノート社との契約が満了し、このアルバムではリー・モーガンカーティス・フラーをフロントに加え、リズム・セクションもシダー・ウォルトン(ピアノ)とジョー・チェンバース(ドラムス)、ベースはロン・カーターとあいかわらずブルーノートのアルバムはメンバーがすごい。曲はヘンダーソン3曲、ウォルトン2曲、モーガン1曲。ブルーノート新主流派を代表する秀作だろう。だが同社は69年の契約満了までヘンダーソンを飼い殺しにするのだった。

それからやっとハッチャーソンのリーダー作が連続して制作される。
Happenings(画像2)66.2.8
Stick-Up!(画像3)66.7.14
-はともに名作として名高く、まだ24,5歳のリーダーが20代のメンバーを率いてこれほど完成度の高いアルバムを制作した例はおおむね新旧世代の交代期に見られる現象といえる。ブルーノート同期のハンコック、ヒル、ヤングらの新人たちもそうだった。

前者はヴァイブ+ピアノトリオでピアノはハンコック、ドラムスはチェンバース。全7曲中ハッチャーソンの自作が6曲でバラードの'Bouquet'が佳曲だが、ハンコックの'Maiden Voyage'の再演の出来が良すぎてアルバム全体の印象を決定してしまった。確かにハッチャーソンのアルバムなのだが、ハンコック抜きにはなかった作品でもある。

その点後者はヘンダーソンのワンホーン、マッコイ・タイナーのピアノトリオでハッチャーソンの自作6曲も充実しており、オーネット・コールマンのポップな'Una Muy Bonita'も成功している。バンドの一体感も優れた会心作になっている。