人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補13e)ジョー・ヘンダーソン(ts)

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Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。
のっけから訂正しておきたい。63年~69年のヘンダーソン参加アルバムは30枚だが、リーダー作は4枚ではなく5枚になる。
「ソング・フォー・マイ・ファーザー」の翌月、ヘンダーソンは立て続けに、
Duke Pearson:Wahoo(画像1)64.11.24
と、第4リーダー作、
Inner Urge(画像2)64.11.30
-を録音している。発売はレコード番号上では「インナー・アージ」が先になった。
これは、ブルーノートからのリーダー作では唯一のワンホーン作品で、ドーハム三部作は共同リーダー作としての魅力でドーハム色を楽しめるアルバムだったとすると、サイドマン作ではワンホーンの魅力を楽しめるものもいくつか挙げられる。具体的には、アンドリュー・ヒルの「ブラック・ファイア」、ピート・ラロカ「バスラ」、マッコイ・タイナーの「ザ・リアル・マッコイ」などは、ドーハム三部作よりも本来のヘンダーソンが出ている。

「インナー・アージ」ではピアノにマッコイ、ドラムスにエルヴィンというコルトレーン・カルテットからの人選だから、コルトレーンから学びながらも異なる個性を身につけた自在なワンホーン・スタイルが十分に発揮されている。スタンダード'Night And Day'以外の自作曲もハードボイルドな味が出てきて、かっこいい。一般的な人気は'Blue Bossa'収録の「ページ・ワン」に譲るも、内容はこちらが上という評価が多いのもうなづける。

「ワフー」は才人ピアニスト、ピアソンの三管バップ作品だが、巧妙なアレンジと作曲で響きがとても新しい。ピアソン自身も、手法や奏法はハンコックあたりに学んだかな、と思わせる面がある(このアルバムはトランペットにドナルド・バードが参加しているが、ピアソンはバードのサイドマン出身で、ハンコックは後輩だった)。

次のアンドリュー・ヒルのアルバムは、75年に未発表2枚組'One For One'の一部として発表され、
Andrew Hill:Pax(画像3)65.2.10
-として単独CD化されたのは2006年になった。トランペットにフレディ・ハバード、ジョー・チェンバースがドラムスの、ヒルにしては珍しくストレートな乗り乗りの快作になっている。