人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補b)ティナ・ブルックス(ts)

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Tina Brooks(1932-1974,tenor sax)。
錚々たるメンバーの中で物怖じしない堂々としたプレイを披露し(ジミー・スミスの2作)、3週間後には第1リーダー作を早くも制作、出来もいいのにお蔵入り、とブルーノート社の方針はブルックスの将来性を買っていたのか単に試していただけか、よくわからないような状態だった。

次の参加作は、
Kenny Burrell:Blue Lights Vol.1,Vol.2(画像1)58.5.15
-で、バレル作品のドラムスはブレイキーが常連だから悪かろうはずはない。全8曲中カルテットの1曲以外がブルックスを含む3管セプテットで、この日一日でアルバム2枚分を仕上げた好調さが伝わってくる代表作になった。

次もバレル作品で、
Kenny Burrell With Art Blakey:On View At The Five Spot Cafe(画像2)59.8.25
-と、ブレイキーとの共作扱いになっている。バレルは一社専属ではなく同時期に他社にも多くのリーダー作を残したが、ライヴ盤は他社への'A Night At The Vanguard'とこれになる。ヴァンガード盤はトリオで渋く決め、ファイヴ・スポット盤はブルックスのワンホーンでバレルのギターもスタジオ盤以上に太くて熱い。ブルックス効果が確かに認められる。これもライヴの名盤だろう。

そして翌週録音の、ブルックスの傑作「トゥルー・ブルー」の予習のように、
Freddie Hubbard:Open Sesame(画像3)60.6.19
-が制作される。ハバード(1938-2008,tp)は、ドナルド・バード(1932-2013,tp)と並んで活動歴の長さ、実績からもジャズの巨人といえるが、共に器用すぎて流行に流されやすく、自作よりサイドマン参加作に真価を発揮した、という点で取り上げづらい。
「オープン・セサミ」はブルックス3曲、スタンダード2曲、ハバード1曲という構成の初リーダー作で、ピアノのマッコイ・タイナーにベースのサム・ジョーンズ、ドラムスのクリフォード・ジャーヴィスが重くて深いビートを刻み、ブルックスの重厚さとハバードの勢いの対照もいい会心作。ただし時代は1960年、このスタイルは2年以上旧いものだった。