人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補16d)オーネット・コールマン

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Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。
フリー・ジャズ」は「ダブル・カルテットによる集団即興」が副題で、ステレオの左はオーネット、チェリー、スコット・ラファロ(ベース)、ヒギンズ。右はドルフィー(バス・クラリネット)、ハバード(トランペット)、ヘイデン、ブラックウェルで、一応簡単な合奏はあるがテーマではなく、アドリブに関して調性やコードの制限もない。一応ソロを回すが常に突っ込みが入るのでソロを堪能する作りでもない。内ジャケットにはアクション・ペインティングのジャクソン・ポロックの「ホワイト・ライト・ホワイト・ヒート」が印刷され、表ジャケットのくり抜きから一部が見えている。
こんな37分全1曲が楽しいかというと、楽しいのだ。65年にコルトレーンは自己流で40分全1曲の「アセンション」を作るが、これは両者の資質の差が明らかになるようなものだった。

ヘイデンの生活トラブルからベースはスコット・ラファロが代役で、
Ornette!(画像1)61.1.31
-が制作される。
ビル・エヴァンス・トリオを支えた夭逝の天才ラファロは没後絶大な人気と影響力を誇るが、オーネット・カルテットでは性急で強引な印象を受ける。オーネットの作曲も無愛想に感じられる。曲名も'W.R.U.','T.& T.','C.& D.','R.P.D.D.'と意図的にそっけない。

アトランティック社での最終作は、
Ornette On Tenor(画像2)61.3.22,27
-で、アルトからテナーに持ち替えても全然芸風が変わらないのが面白い。後にコルトレーン・カルテットに入るジミー・ギャリソンがベースで、朴訥とした雰囲気が、このアルバムには合っている。

だがまだアトランティックには未発表曲がアルバム4枚分あった。第1弾、
The Art Of Improvisers(「即興詩人の芸術」画像3)59.5.22-61.3.27
-は70年11月発売。内容は「フリー・ジャズ」以外の全アルバム・セッションで未収録だった曲を集め、それでも統一感があり佳曲も多い。アトランティックはオーネットのベスト盤も発売したが、裏ベストとして十分拮抗し得るアルバムになっている。