人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(49c)アート・ファーマー(tp,fh)

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Art Farmer(trumpet,cornet,fluegelhorn,1928-1999)。
いよいよファーマーが本格的においしい時代に入ってきた。その皮切りが、
Art Farmer & Benny Golson:Meet The Jazztet(画像1)60.2,6,9&10
-で、ベースはまたかよのアディソンだが、カーティス・フラートロンボーンマッコイ・タイナーのピアノという無敵の布陣。
ゴルソンは作・編曲は当代一だったが、演奏は締まりがなかった。だからファーマーとのコンビネーションはゴルソン自身の欠落部分をうまく補うかたちになった。ただ、このバンドはあまりに好評だったので、63年までのファーマーは年間数枚のジャズテット作品に忙殺されることになる。
(蛇足だが、ベニー・ゴルソンスピルバーグの映画「ターミナル」に本人役で登場する)。

「ミート・ザ・ジャズテット」の制作直後に、ファーマーは、
Art(画像2)60.9.21-23
-を録音している。ピアノのトミー・フラナガン・トリオをバックにしたワン・ホーンのカルテット作品であり、ジャズテット作品の景気のいい演奏ももちろん良いのだが、ファーマーの本質はこちらの、情感を丁寧で端正に綴った作品にあると思える。それを引き出したのがフラナガン・トリオの抑制の効いた伴奏だろう。だがこの後ジャズテット作品の量産になったのはポピュラリティの面からは納得できる。

Interaction(画像3)63.7.25,29&8.1
-はアトランティック移籍第1作で、ギターにジム・ホールを迎えたピアノレス・カルテットになった。発表即名盤として評判を呼んだ作品で、ファーマーもこのアルバムからフリューゲルホーンを主要楽器にしている。
ロサンゼルス出身のホールはチコ・ハミルトン、ハンプトン・ホウズのバンドで名を上げ、ニューヨーク進出後はジミー・ジュフリーやビル・エヴァンス、さらにソニー・ロリンズとの共演で「一流ピアニストに匹敵する和声感覚を持つ唯一のギタリスト」という定評があった。ファーマーもまた和声楽器奏者以上に繊細な和声感覚の持ち主となれば、その成果は言うまでもない。