人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(50f)ルー・ドナルドソン(as)

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Lou Donaldson(1926-,alto sax)。
ライヴではレギュラー・バンドでよくても、アルバムでは新鮮な企画を、という問題がソロイストのジャズマンの場合どうしても出てくる。ルーさんはもうコンガ入りクインテットで3枚のアルバムを出した。そこで、次作は、
Lou Donaldson With Three Sounds:LD+3(画像1)59.2.18
-という、ブルーノート社きってのピアノ・トリオとの共演作品になった。ジーン・ハリス(ピアノ)率いるこのトリオはとにかく上手い。ハーマン・フォスターのピアノでルーさんのアルバムを聴いてきて、このアルバムを聴くとハッとするくらい音楽が流麗で明快なのだ。まぎれもなく成功作だがこれでいいのか、という疑問も残る。例えば同じパーカー派アルト奏者でもジャッキー・マクリーンならスリー・サウンズの世界を粉砕して暴走しただろうし、フィル・ウッズなら自分のペースにトリオを引き寄せただろう。ここでルーさんの職人気質が何となく予定調和的に見えてくる。

The Time Is Right(画像2)59.10.31&11.28
-ではレイ・バレットのコンガが復帰して、ブルー・ミッチェル(トランペット)との二管、ピアノはブルース感覚の強いホレス・パーランに替わった。かっこいいジャケット通りのジャズが聴ける秀作だしミッチェルもパーランも素晴らしいが、主役が分散してしまった感じは否めない。また、「ブルース・ウォーク」で聴けたハスキーな音色が、ここではすっかりブライトになってしまった。キャノンボールならブライトな音色に骨太なビート感を乗せる達人だが、明るいルーさんは線も細くなってしまうのだ。

トランペットがビル・ハードマンに交替し、コンガ抜き以外はほぼ同メンバーの次作、
Sunny Side Up(画像3)60.2.5&28
-でもだいたい同じことが言える。この二枚は実質的にはホレス・パーランが音楽面でのリーダーで、ルーさんはそれに乗っかっただけ、というのが実態ではないだろうか。スリー・サウンズとの共演作と同じことだ。ジャズマンは結構そういうところをちゃっかり割り切る人種でもある。