人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

通院日記・9月20日(金)晴れ

イメージ 1

イメージ 2

(金)と書いたら最後に精神科入院した時の相部屋で、どうしようもないじいさんがいたのを思い出した。一日中他人の陰口か昔の自慢話を独語している。本業はタクシー運転手のかたわら山口組でシマを任されていたのが自慢だが、生活保護を受けるために離婚して精神病棟に入院し20年近く、「おれはキチガイじゃないんだぞ。娘やかみさんの都合でここにいるんだ」が口癖。男性看護師には威張りちらしてわがまま放題、看護婦には容貌でまるっきり態度が違う。こんなじいさん家族の誰も引き取らないわけだ。気の毒とも思えない。なにか気にくわないことがあると「おれはヤクザだぞ!」と凄む。

ぼくは自分からは一切こいつと口をきかなかった。夜中にこいつがイヤホンをしているつもりで大音量でラジオを鳴らした時にはさすがに注意したが、本人はボケているので翌朝くってかかってきた。
「おれはヤクザだぞ!」
「それがなんですか?」
「それがって…おれは事情があって(入院して)いるだけなんだ…」
「いつ退院できるんですか?」
「それは…かみさんや娘が…」
「早く退院できるといいですね」
ぼくはヤクザにも殺人犯にも知りあいがいる。本当に山口組にシマを任されていたくらいならこんな窮状にはなるまい。「おれは…」と凄んだつもりでいる時点でお里が知れたものだ。

このじじいがある日を境に医師や看護師、看護婦や患者の誰も彼もが「あいつは朝鮮人、こいつも朝鮮人、この病院は…」という妄想を一日中口走り始めた。名前に「金」がついていたらまず確定だし、西日本の地名に類似していても「朝鮮人」だ。年輩の日本人には朝鮮系の人たちにとんでもない差別意識があるのは社会人になってようやく実感したことで、なにしろ現職の東京都知事すら公の場で「三国人」と発言して罷免騒動にならないくらいだ。ヤフーの生活保護法案に関するアンケートで「韓国・中国籍の日本在住者は除外し、強制送還すべき」という意見が大多数だったのには恥かしくなった。「おれはヤクザだぞ!」じじいとまったく意識のレヴェルが変わらない。

通院日記だった。今日は内科で、いつもは午前の部ぎりぎりは空いているのだが今日は混んでいた。体重は着衣で65.3kg。半年前から10kg減量。血液検査結果も健康体そのもので、午後に訪問看護に来たアベさんが「うわぁ!」と叫んだほどだった。