人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

映画「愚なる妻」1922

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 昨日・おとといはこのブログ初期の(二年半前になる)記事の再録で済ませたくらいで、率直に言って疲れている。このブログはどの記事も1000文字と決めているが、今日は書くことがなくなったら(なくはないのだが、その気力がなくなったら)そこまでで切り上げようと思う。1000文字という括り自体が携帯サイトの制限文字数なので、毎回推敲しその文字数に調整しているのだ。書き上げてみるとだいたいその1.5倍の長さになっていることが多い。そこでいくつかエピソードを削除し、形容詞や副詞節を見直し、語尾や主語を圧縮して1000文字に納める。作文よりも添削に時間がかかることが多い。

 昨夜は何度も観ようとしたが、そのたびに冒頭30分未満で睡眠薬が効いて眠ってしまっていたサイレント映画「愚なる妻」1922をようやく通しで観た。初めて観たのは大学生の時で、アテネ・フランセのシネクラブだから30年前、DVDを買ったのは数年前だが最近までDVD鑑賞など不可能だったから、感慨深く観た。30年前は淀川長治氏は存命だった。このDVDは淀川長治総監修「世界クラシック名画100撰集」の一本で、生前の氏による解説が映画本編の前についている。

 ここに収められたのは108分のヴァージョンで、オリジナルは4時間半というとんでもない大作だったと伝えられる。それが短縮に短縮を重ねられ、現在では他社から2時間半まで復元した版も出ている。学生時代に観た版と108分版DVDにも明らかに編集の違いがあった。
 2時間半復元版DVDは未見だが、この淀川長治解説版は解説だけでも価値がある。「愚なる妻」の日本公開は1923年=大正12年2月、3時間半の短縮版だったらしいが、それでも現存する各種ヴァージョンより原型に近い(アメリカ本国でもすでに短縮版にされていた、と推定される。4時間半どころか、最初のヴァージョンは8時間あったらしい)。

 淀川氏の解説は、現存版での欠落部分を埋めあわせ、見事にこの作品の見所を解き明かしてくれる。氏の著書ではさらに詳しく当初のヴァージョンにはあり、現存版では失われたシークェンスを教えてくれる。現在では108分版DVDは淀川長治氏の解説を割愛して、廉価版再発売されているが、淀川氏の解説入りでなければ2時間半復元版を選んだほうがいいだろう。ただし価格は4倍近く高いので、サイレント映画のマニア向けとしか言えない。