人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

通院日記後編・10月18日(金)晴れ

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(カウンセリングの続き)

「その頃は引っ越してきて間もないから実家によく顔を出していましたが、仕事はまだ決まらないのか、毎日職安行け、なんて言われる。毎日行っても無駄だとわかってもらうない。応募から面接、面接から返答がくるまでにも時間がかかるし、返答さえよこさない所もあるのに」
「高度成長期の感覚なんでしょうね」
「無理をすれば日雇いで深夜の宅急便仕分け場なんかはあります。でもあれは体を壊しますよ」
「ああ、ぼくも昼間やったことがあります。あれはきついですね。佐伯さんもあるんですか?」
「学生時代に一週間やりました。毎日必ず逃亡者が出ましたね。空港や港でもそうでしょうけど、貨物の仕分け作業なんて自分の持ち場で、延々中腰で荷物をリレーしていく作業だから、体はきついし、精神的にも休まるヒマがないし。ライター時代にいちばんキツいバイトで全員意見が一致しましたよ」
「あれができるのは若いうちだけですね」
「20代前半まででしょう」
「他のバイトで深夜番をやりましたが、徹夜は苦しいですよね」
「…徹夜自体はライターになって、30代でもやりましたが、一服したり休憩挟んだり、自由がきくから締め切りにさえ間に合えばいいんです。貨物の仕分けは持ち場に拘束されているわけですからね」

「ああ、そうだ」とぼくは思い出して、「親切にしてくれたドライヴァーさんがいましたよ。ぼくはこんな体力なさそうなやせっぽちでしょう?気の毒に思ったんでしょうね。ぼくを次の仕分け場で貨物を下ろす助手に指名してくれて、往復四時間はぼくは助手席で休めたんです。到着先でも荷下ろしは向こうの作業員と共同作業だし、そこで貨物積んで戻ってきて荷下ろしするとちょうど深夜作業の終了時間でした。トラックの中では何も話しませんでした。疲れていて会話する気力もなかった。向こうの集配所に着いた時に缶コーヒーをおごってくれて、その時にお礼を言っただけです。こういう、さりげなく親切にしてくれた人のことは、忘れられないものですね。時おり思い出すと気持が暖まる感じがします」

(画像はアベさんに薦められてYTで試聴して購入した輸入盤DVD「涼宮ハルヒの憂鬱」フランス盤、「侵略!イカ娘」イギリス盤。どちらも1800円ほどで全話収録のお買い得盤で、アベさんは「ハルヒ」は20回以上観ているそうだ)