人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

「巴マミの平凡な日常」(ネタバレ注意)

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あらたまい「巴マミの平凡な日常」(第1巻・2013年10月27日刊・芳文社)は、初版が出たばかりでたちまち完売となり、まだ再版されないのでネットショップでは一時3000円のプレミアがついた問題作です(本来の定価は700円)。今は重版の予告もされて価格も落ちてきましたが、それでもまだ定価以上の古書価で取引されています。こうしたギャグ漫画は出版社でも一種のスキマ商品と見なすので、いわゆるストーリー漫画と較べて寿命の短いものとされ、「巴マミ~」のような売れ行きを示しても重版には慎重になる。再版してもさっぱり売れず返品の山、では商売にならないからです。

さて、これはアニメーション作品「魔法少女まどか☆マギカ」の大ヒットによって「まんがタイム」の増刊号として発行されている、魔法少女まどか☆マギカ専門誌「まんがタイムきらら☆マギカ」のVol.1~8までに、毎号読み切り連載されてきた同誌の看板作品の一つです。元々は同人誌作品で話題作だったものを、同誌の発行に当って商業誌にスカウトされたものです。ぜったい「僕と契約して、プロの漫画家にならないかい?」という勧誘があったに違いありません。

巴マミ~」は十分楽しめました。これが同人誌関係から評判が悪いのは嫉妬でしょう。画力はまあプロの水準ではありませんが、ことさら悪く言うような作品でもありません。魔法少女ネタをもっと生かせなかったのかとか、マミさん以外の元魔法少女たちとの絡みが少ないとか、不足点を言えばきりがありませんが、パロディとして引退した虚構作品のヒーロー(ヒロイン)の情けない日常をリアリズムで描くというのは一種のパターン化したジャンルですから、これもそうした作品として楽しいものでした。

しかしアニメーションではマミさんは相当裕福な家庭の子女だったはずですが、それだとギャグ向きの設定にならないので、あえて変えたのでしょう。本来のマミさんは、昔のマンガなら「エースをねらえ!」のお蝶夫人の役所でした(ヒロインの憧れの先輩。縦ロールが共通点です)。そのはずだったのに…(笑)。

高級さくらんぼの話も面白かったけどあれは別に魔法少女設定でなくてもいいので、いちばん面白かったのは台所の排水口にアレ(笑)を落して身動きがとれなくなる話でしょうか(笑)。マミさんファンならこの現実も受けとめなければ(笑)。