人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟の思い出44

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・3月21日(日)晴れ
〈祝・春分の日
(前回から続く)
「で、昨夜は就寝前の服薬をしてきて第二病棟に戻って喫煙室に向かうとぽつんとひとり、Fさんが先客で一服していた。夜更けだし会話する雰囲気でもない。先にFさんが喫い終え、おやすみなさい。おやすみなさい。その後はひとりで喫い終えてトイレに寄ると、いい便通があってすっきりした(注1)。シメにもう一服するかと喫煙室に行くとまたFさんがいて、ふたりとも苦笑。ほぼ同時に喫い終え、今度こそおやすみなさいと廊下で別れた」

「さて、土日祝は学習プログラムもないし、昨日の日記も書いたし、のんびり本でも読むかな、とノートを閉じると部屋に戻ってきたKくんが、散歩行かないか?どこへだい?わからん。誰が言い出したのか知らないが彼が誘ってくるものを断ると気の毒なので(注2)玄関で先に出ていた人たちと合流する。今日の散歩メンバーは他は女性で、お照さん、おねえさま(注3)、HAとUzさん。うわ、これではリーダーやるのはおれしかないじゃん」

「N大三高ルート案は蛇行した上り坂がしんどいので却下、平地にすることになり、A屋前の四つ角を西側に直進し、南に曲がると淵野辺方面の十字路まで行って道の反対側に渡って引き返してくる。帰りはA屋前のベンチでひと休み(注4)と決まる。平均年齢は高いし、体はなまっているし、のろのろ歩いているとHAがあたし先に行ってるね、と走り出してしまう。若いわねえ、とKdさん。あいつ統合失調症だからな、とKくん。Uzさんがきょとんとして、統合失調症ってなに?Kくんが、精神分裂病ですよ。彼に説明させたらUzさんが妙な偏見を持ちそうなので引き継いで、ジグソーパズルの比喩(注5)で説明する」

(注1)子供の頃から便通は夜型なので、便通の時間は体調の目安になる。
(注2)Kくんは社交性の面ではぎこちないところがあるので、緩衝材になってやらなければ危なっかしくて見ていられないのだ。
(注3)KくんがつけたKdさんのあだ名。あだ名をつけるのが好きな奴っているものだ。昔の同僚にもいて、なぜか人間的にも筆者との関係性も彼と似ていた。
(注4)こんなつまらない散歩するくらいしかヒマの潰し方はないのだろうか。
(注5)どんな比喩か忘れたが一般向け医学書の受け売りだったと思う。ジグソーパズルでなんとなく見当はつく。