人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記124

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・4月1日(木)晴れ
(前回から続く)
「一昨日の日記を書いたのは翌日で、昨日の日記も翌日書いて、ようやく4月1日の日記を書いている今は実は4月3日になる。その間どれほど病棟でもめ事が連発したかはなんとか記録しておいたが、なぜ日記がはかどらなかったかというと、Kくんが邪魔しにくるからだ。病棟のもめ事自体に巻き込まれたのもあるし、エイプリル・フールの冗談では自分からふざけたりもしたというのはあるが、学習プログラムの参加や最小限の入院生活記録は日記に残しておきたいし、読書もしたい。とりあえず日記優先でベッド脇ワゴンの机に向かっていると、Kくんが悩み事や愚痴をこぼしにやってくる」

「真剣に答えれば長話になる上に彼の機嫌をどんどん損ねるし(要するに彼は自分の望んでいることを相手に言わせて賛同してもらいたいのだ)、簡単に返してもかえって食い下がってくる。しつこいくせに肝心なところには触れられたがらないのでまだるっこしい。Smくんが数日前言っていたように、佐伯さんは最初Kさんの相手をしていたけど今はいろんな人と親しくしているからぼくの方に貼りついちゃってるんですよ。KくんはMさんとSmくんの二人部屋に入りびたって毎日のように看護婦に注意されている。診察のたびに助手の看護婦さんに、佐伯さんはKさんと一緒(同室で食卓も隣席)で大丈夫?と訊かれるのにも馴れてきた」

・4月2日(金)雨のち曇り
「午前中のプログラムはリクリエーション。昨日桜の開花宣言が出たのでウォーキングの予定だったが明けてみると雨天だったので、作業療法室の室内ゲームになる。また体育館でバレーボール(ビーチバレー)だがそれもそれなりに楽しい。入院でもしなければ生涯ビーチバレーなんてしなかっただろう(家庭生活を続けていたらわからないが)。ビーチバレーの時間が気楽だったのはKくんのお守りをしなくても良かったからかもしれない。Smくんが今日から二泊三日の帰宅外泊なので、彼にかまわれて一人で好きなことをする時間がとれない。具体的には日記が二日分たまっている。書いてしまえば忘れられるが、書かないうちは記憶にとどめておかなければならない。書くことでようやく咀嚼される経験が今回の入院なのだ、という気が強くする。ビーチバレーも二度目となると、前回とは段違いに試合に集中することができた」(続く)