人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記199

イメージ 1

(人名はすべて仮名です)
・4月24日(土)晴れ
(前回から続く)
「4.降谷さんの『奇行』。良い天候なのでデイルームの南の窓から中里さんが外を眺めていると、すぐ前の駐車場に女性が伸びているのに気づいた。通りかかった梅崎さんにあれは一体どういうことだろう、看護婦に知らせるしかないよね、と相談する。中里さんと梅崎さんの様子にただならぬ事態を察した勝浦くんが加わり、怪我したり何らかの原因で倒れたのではないようだ、と推察する。証拠にきれいに後輪止めを枕にして寝ている。それがどう見ても降谷さんだった」

「寝ているの?とにかく患者が見に行くと万が一の時面倒なことになる。結局、看護婦にあのー、とみんなで調べてもらいに行く。窓から様子を見る。看護婦は降谷さんに近づくと、横たわったままの彼女と会話して、やがて降谷さんは起き上がり看護婦に連れられて戻ってくる。寝るんなら自分の部屋のベッドで寝なさい。だって気持いいんだもん、ねえ?と同意を求められても困る。とにかく奇行は止めなさい、と看護婦。私駐車場でシェスタしていただけよ。それを奇行と言うんです」

・4月25日(日)晴れ
「近藤さんの移室はコンビニで買った酒を飲んで倒れてしまったからだった。意識不明になっていたらしいから、抗酒剤の効果がてきめんだったわけだ。金銭の自己管理不可も買い物は付き添い必須なのもおそらく前科があったのだろう。あの人アルコールで脳が溶けてる、と事件の前から中里さん(意外に常識人)も言っていた。室内スポーツでヘルパーに制止され見学していたのもまともに運動できる体力ではなかったということだろう。今ガッチャン部屋(隔離室)、と朝食後に図書室に本を借りに来た篠田くんから聞く」

ゴールデンバットひとつ売ってほしいと言う彼に情報料として譲り、口外の許可を得て梅崎さん・勝浦くんに教える。さすがに騒然とする。坂部が外泊中なので邪魔者なく『仮面ライダーW』と『ハートキャッチプリキュア』を観る。プログラムも掃除もないので後はほとんど寝て過ごす。午後四時までには外泊患者も全員帰って、明日は月曜なんだなあ、という雰囲気になる。清水くん・金田さんが退院したのでテーブルは梅崎さん・滝口さん、勝浦くん・佐伯の四人になる。もちろん夕食の席の話題は滝口さん帰宅外泊中の珍事件続発だ」(続く)