人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

偽ムーミン谷のレストラン(21)

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第三章。登場人物・承前。ムーミンムーミンパパ。ムーミンママ。―以上核家族スノーク。フローレン。―以上兄妹。ヘムレンさん・ジャコウネズミ博士。―以上学者仲間。トフスランとビフスラン夫婦。―以上双生児夫婦。ヘムル署長。スティンキー。―以上警官と泥棒。ミムラ。ミイ。その他計35人。―以上多産系兄弟姉妹。スナフキン。―単独孤行者。ニョロニョロ。―群棲担子菌類。偽ムーミン。―影武者。図書館司書。その情婦。ムーミン谷レストラン給仕。―ムーミン谷レストラン給仕。その他ここにいない全員。
舞台・表題参照。
時・夕食時。
*
そうか、ようやくわかってきたぞ。正しくはこれから起こることは依然としてわからないが、これまでわれわれがやってきたことの結果がついに現前したことだけはわかった。
どういうことですか?私にはおっしゃっていること自体がよく飲み込めませんが…私の理解力不足としてもあまりに唐突すぎるように感じますし…。
賛同の小さな拍手、ほぼ全員より。ただし今ここにいない全員を除く。
少数派の意見だからこそ尊重するのが偽善的民主主義というものだよ。そしてわれわれから偽善を取り去ったら何が残るね?
また興味深い見解が出た。何が残るんです?
これは逆説だよ。われわれとは特定のわれわれではなく、いわば存在そのものを指す。さて、この任意の存在から偽善を取り去るとして、偽善の排除は善の絶対的存在を保証するだろうか?つまりわれわれは先験的に善を備えた存在と言えるだろうか?
ええと、確か有名な詩の文句があります。ムーミン谷立中学、いや高校でも教えているやつです。
きみはその高校、または中学を出たのかね?
もちろん出ましたよ、入ったこともあるんだから。あそこは住民登録さえしていれば出入り自由ですから、ムーミン谷の住人で出たことのない者はいないはずです―もちろん入るのが先ですが。
なるほど。…ではその詩とは、真実と善と美は等しいと古代の発掘品の古甕から啓示されたとか、そんな詩だろうな。やはりそうか。何で知っているかって、私もムーミン谷に住民登録しているからさ。ならば訊くが、われわれは古甕のように真実と善と美の一致を体現した存在かね?
それを言えば性悪説になるしかないでしょう?
ところがそうもならないのだ、われわれトロールは人格を持たないからな。
わお。