人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

バド・シャンク(as,fl)のよくわからない魅力

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[Bud Shank Quartet-The Bag of Blues]56.1.25
http://m.youtube.com/watch?v=6lEDliZP4Fw

まずは一曲、これが画像掲載のアルバム「バド・シャンク・カルテット」のLPではA面1曲目、CDでも冒頭の曲になる。バド・シャンク(1926~2009)はロサンゼルス生まれのアルトサックス奏者で、スタン・ケントン楽団のアート・ペッパーリー・コニッツの後輩になり、シャンク退団後はチャーリー・マリアーノが後を継いでいる。この曲は30年代の小ヒット曲で、原曲は洗練されたニューオリンズ調スウィングといったところだ。メンバーはクロード・ウィリアムソン(ピアノ)にドン・ブレル(ベース)、チャック・フローレンス(ドラムス)。アルバムは全8曲が一日で録音された。
AA'BA'32小節だから正確にはブルースではないが、そこはご愛嬌。1:35からの早くもやけくそな展開、2:55からの加速する暴走が楽しい。
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お聴きいただければ瞭然だが、シャンクは白人アルトとしての独自性はあるがコニッツ、ペッパー、マリアーノ、ポール・デスモントら一流奏者にはまるで及ばない。彼らには創造力があるがシャンクには職人芸しかない。だがこの腹八分目感というのが結構ジャズではありそうでないのだ。
シャンクと同年生まれにはマイルスとコルトレーンがおり、ペッパーは一歳、デスモントは二歳年長、スタン・ゲッツとコニッツは一歳年少になる。こういうすごい人たちと並べるとシャンクは56年にもなって何て呑気なジャズを演っていたのかと唖然とするが、ではすごい人たちがシャンクのように演奏できたかというとそれも無理で、今でもそれなりにシャンクが聴かれている理由もそこにある。LPではB面2曲目、CDではM8のフルート曲など大味な32小節の単純なAA'曲だが、この職人芸には無垢な魅力がある。

[Bud Shank Quartet-Nocturne For Flute]56.1.26
http://m.youtube.com/watch?v=qAiol9Low0Y