人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

偽ムーミン谷のレストラン(69)

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トゥーティッキさんと魔女モラン、フィリフヨンカはもともと親しいわけでもなければ、これから親しくなろうという気もなかったので、なるべくならばそれがきっかけで親しくせざるを得ないような係わりが起きないように、つとめて用心深くしていました。ひとの好いトゥーティッキさんは冷たいモランが苦手でしたし、モランは万事に神経質なフィリフヨンカが薄気味悪く、そのフィリフヨンカはトゥーティッキさんに劣等感を感じていたたまれない気持でした。
この三人の婦人の共通点を上げる前に、肝に銘じておきたいことがあります。たとえば鳥葬されると鷲はまず肝から食いつくといわれており、ひと口味見して肝のまずい遺体は、
・けっ!
と崖から蹴落してしまうのです。そうなると故人の尊厳はともかく、鳥葬ならば正規の葬送ですが、崖の下に遺体が転がっていたら遺棄、しかも損壊の跡もあるので、実行犯は鷲ですが鷲に責任は問えませんから結局は遺族の責任になり、もとをただせば故人の不徳のいたす所存です。そのように肝とはあなどると後が怖い臓器なのでした。
そこで銘じておくべきは、悪人であっても人には違いなく、悪習であっても習慣には違いないなら、その論法を通せば規則正しい習慣は良いことなので、悪習ですら善行になり得る、ということでした。おお。
婉曲話法はここまでです。トゥーティッキさんと魔女モラン、フィリフヨンカの三人の共通点は三人とも元魔法少女でした。なんと!女性の年齢を話題にするのは女性の前でははしたないことで、いわゆる男便所の会話でしか普通はしないものですが、この際それは棚に上げていつまでが魔法少女かというと誰もが納得できる線引きはなかなか難しそうですが、一応の結論としては、
魔法少女←変身または魔法発動アイテムが必要
・魔女←存在しているだけですでに魔力を持つ
という違いがあるのではないか。これで年齢の問題は変身または魔法発動アイテムは少女で通用する年齢層でないと使用適性がない、と解釈すれば説明に一貫性を通せます。
ではすべての魔女は甲羅を経た元魔法少女なのか、魔法少女はすべからず魔女へと成長するものか、というとこれにはやはり無理があり、各自の特性というものがあるでしょう。なにしろモラン以外の二人は誰にも魔女とは見えないほどなのです。その実、この三人の魔力は十分拮抗しておりました。