人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

完結・アル中病棟入院記252

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(人物名はすべて仮名です)
・5月19日(水)晴れのち雨のち曇り(明日退院)
(前回より続く)
「今日は午前と夕方だけ雨降りだった。外出AA断ってのんびりと過ごせて良かった。入院前受診はひと雨きそうな曇り、入院日は雨、明日の退院日も雨予報でこの入院は雨に祟られてばかり、と喫煙室で中島さんと工藤くんに話す。工藤くんも明日退院。九時の消灯後に島田さんから自立支援医療証、障害者手帳生活保護申請の相談を受け、デイルームでノートにまとめると、尾崎さんにも同じ相談を受けて明朝メモにまとめておくことになる。退院間際までこれか」

・5月20日(木)小雨(退院当日)
「朝からもう退院ですねと声かけまくられ、ついに言われる側になったかと感慨を覚える。尾崎さんへの各種申請方法メモをまとめているうちに朝の会で拙いあいさつも済ます。同時退院の工藤くんのあいさつの方が立派だった。メモをまとめ上げると10時、滝口さんとの待ち合わせは10時半なので焦らず荷物をまとめ、中里さんや尾崎さんはじめエレベーター前で見送られながら一階窓口で退院手続きし、処方箋を院内薬局に出す。滝口さんもう外来受診終えて待合室で待っている。伝票を第三病棟に持って行って手続き完了、処方薬もあらかじめ薬局で用意してあったようだ。滝口さんの車に乗せてもらい、バスと電車の乗り継ぎだと一時間半かかるのに車だと自宅まで30分かからない。バスがよほど迂回してといことになるらしい」

「昼食の予定だったが、滝口さんが酒歴の朗読を聞きたいというので部屋に上げて朗読する。その後はなんとなく雑談しているうちに滝口さんの小学生のお嬢さんたちが帰ってくる時間が迫り、食事がお流れになった件をわびてお迎えのお礼を言って見送る。集団生活から解放されて、滝口さんも去った後はさすがに寂寞感があり、朝に抗酒剤を飲んできているからビールをちびちび飲む以外はできない。駅前の中華チェーンに野菜タンメン食べに行き、コンビニ払いでサンハウス35周年ボックス・セット、村八分の発掘ライヴ盤『71年・北区公会堂』、マイルス・デイヴィス『14プレスティッジ・アルバムス』どんとまとめて注文。夕食はめんどうなので同じ店で同じタンメン。自宅でビールの晩酌と久しぶりの音楽をひとりで堪能する」
(『アル中病棟入院記』了)